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第4話 満腹


あれだけあった大量の果物は全て食べ終え、肉や魚を手掴みで貪り食べる姿は、まるでゴブリンやコボルトの様であり、ただ餌を喰らい尽くす獣の様な有り様であった。


そんな刻緒の姿を一切見る事無く、ただ目を伏せ、頭を垂れて微動だにしない鬼の姿は、如何にもシュールであった。


どれ程の時間が経ったのだろうか、目の前にあった全ての食料は残さず平らげ、ゆっくりと静かに息を吐き出し、刻雄は身体と心を落ち着かせていた。


そして視線を前に移すと、小山のような大きさの赤黒い鬼が静かに佇んでいた。


刻緒は少し考えた後「名は?」と短く静かにたずねる。


「ガランに御座います!」


即座に答え、更に頭を垂れるガランに対して刻緒は

「もっと詳しく!」と矢継ぎ早に聞く。


するとガランは焦ったように少し裏声になりながらも、「我は戦鬼族が氏長ゴラン・テッキが子、ガラン・テッキと申します。」


「冥界の門より喚ばれし者。

暝主に付き従い全てを打ち砕く者。

古の暝約に従い参上致しました。

この命尽きるまで仕えさせて頂きます。」


誇らしげに語るガランの姿に、どこか諦めた様にため息を吐きながら刻緒は「こんなのがまだ107も喚び出せるのか!

ってか煩悩の数と一緒かよ!

チート過ぎるな~」と呟いた。


ほんの2刻程前に目覚めてから、今まで様々な知識が頭の中を駆け巡り、やっと今落ち着いた処なので有った。


(それにしてもこの知識は凄いな!あの光の影響なのか、様々な力を使えるようになったようだ。

こいつを喚び出せたのもそのお蔭か。)


また思考の波に呑まれながら瞑想する。


(さてこれからどうするかな。

それにしてもさっきの祠みたいな所で一体どれだけの時間倒れてたんだ?

あの埃の量から1年や2年じゃきかないな!

腹も死ぬほど減ってたのか、生で魚の鱗や動物の皮を食べても、今の所問題ない様だし、身体も変わったのかな?)


自分のお腹を触っても特に痛みや違和感を感じる事は無かった。


「よし!兎に角移動だな!

此処に居てもしょうがないし、先ずは状況を確認する為にも歩こう!」


意気揚々と宣言し立ち上がりなから刻緒はガランに対して「お前はどうする?」と訊ねる。


ガランはその声に素早く反応して、「何処までも」と短く答える。


(やっぱりな~)と思いながら静かに歩き出す。


少し歩き出してから不意に止まり、(何処行けば良いのか分からん!!)と一人唸るが後ろを振り向き、

「所でお前の氏族で使えるのは何人位いるんだ?」


「ハッ 今すぐ戦える者は100程でございますが、刻を頂ければ直ぐに増やす事は可能です。」


「刻か・・・ その理由は?」


「ハッ 我等戦鬼族の成長は早く、2〜3年で成人に成ります。

更に戦う度に力が上がる為早い段階で使える者は揃えられます。

それと、数多の使える者が必要でしたら他の氏族を傘下にする事も可能に成ります。」


「ふ〜ん。 じゃあその方向で進めてくれ。」


「人数の上限は如何様に?」


「無限。」


「畏まりました。」

ガランはそのまま考え込むように立ち尽くしていたので、刻雄は興味が無くなったのか、また歩き出していた。



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