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第2話 旅立ち
あれから一体どれ程の時間が経ったのだろうか。
部屋には埃が舞い、刻緒の体にも大量の埃が積もり黒いローブを真っ白に仕上げていた。
ピクッ
指が動く。
ピクッピクッ
1つ2つと指が動きだし、呻き声と共に刻緒は重くなった体を動かして、起き上がる。
「怠い」
そして「腹へった~」
そう呟いてからも直ぐには動こうとせず、じっと何かを待つ様に身じろぎもせずに、座っていた。
一刻程過ぎた頃にようやく立ち上がる。
体に付いた埃は空間に舞い、視界を白く染め上げた!
「ゴホッ ゴホッ ゴホッ」
軽く噎せてから刻緒は辺りを見回すが見える範囲は埃により白くなっていた!
「出るかなー」
刻緒は後を振り返り木のドアに付いている小さいドアノブを捻りドアを開け放つ!
突然の眩しい光に咄嗟に目を瞑るが、徐々に慣れてきたのか、ゆっくりと目を開け目の前の景色を見渡す。
と言っても鬱蒼とした木が生い茂る森の中であった。
1歩を踏み出しもう一度振り返ると石が積み上げられた祠のような建物とドア有るだけだった。
刻緒はドアを閉め、今度は振り返る事無く、歩き出していた。