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愛は独りよがり。

作者: 音宮 音音



私は恋をしました。



相手の人は、斎藤 亮君といいます。


彼はとても優しい人で、この間、雨に濡れて可哀想な捨て猫に傘をさしてあげていました。

そして彼は、雨に濡れながら家に帰ったのです。


私は、その優しさを見て彼の事が好きになったんだと思います。




「亮?アイツ財布スッても気付かない位鈍感でさ

その上、超運痴!!パシリにも使えねぇ!(爆笑」


「なんで斎藤の事聞くの?もしかして好きとか?(笑

アハハ!んな訳ないよね〜

アイツ、キモいし、キタネェじゃん!

しかも、オタ!アハハハハ、笑える〜!」


彼の事いじめている男子がいるとか、彼の事蔑んでいる女子が居る事は知っていました。

でも、私の彼を想う気持ちは変わりません。



私は、彼を本気で愛しているからです。



私は、彼の登下校時や、学校の中でも、出来るだけ近くに居ました。


彼は、友達が居ないようで、とても寂しそうでした。


居るといえば、彼をいじめるヤツラだけです。


私は、声をかけてみたいと思ったけど、結局なんだか恥ずかしくて、無理でした。




そうだ!


私は思いつきました。

なにか共通の趣味が見つけられれば、話しかけやすいかも知れません。


彼は基本的に無口なのですが、彼の事をいじめる男子とも、一応たまには喋ります。

それをずっと聞いて、調べました。


彼の趣味は、ゲームとプラモデルです。

ゲームは、RPGが好きな様でした。

プラモデルは、ロボットとかのじゃなくて、車とか、そういうののプラモデルらしいです。


私とは、随分とかけ離れた趣味でした。


なかなか難しいですね。




話しかけるキッカケも掴めず、数か月。


私の中でただひたすらに、彼への想いだけが膨らんでいきます。


耐え兼ねた私は、ついに彼に告白する事にしました。




夕暮れの校舎裏。


ほとんどの生徒は、帰ったか、部活か。


そこに、彼を手紙で呼び出しました。



「好きです!

付き合って下さい!」



私は単刀直入に言いました。



彼の答えは、



「えっ…??


あの…



…ごめんなさい」




何故?

何故断られたのかが、分かりませんでした。


けれど彼は、言った直後、逃げるように去っていってしまいました。


私はただ、棒立ちです。




次の日、学校の廊下で、彼とすれ違いました。


顔を合わせずらくて、俯いて早歩きします。

彼も、小走りで去っていった様です。




授業中、彼の事を考えて居ました。


彼は、昨日私の告白を断りました。


私にはその事が納得いかず、夜も寝ないで理由を考えました。


でも、分からないままでした。




そうだ、多分いきなりだったから、びっくりして思わず断ってしまったんだ。


そんな答えが浮かんだのは、夕方の家での事でした。


なんで、そんな単純な解答に気付かなかったんでしょう。


彼は、いじめられたり、蔑まれたりが多いせいで、自分を愛してくれる人がそう簡単にいるとは思っていないのです。


どうせ、ジャンケンで負けたんだろとか、そんな疑心暗鬼な事思っているに違いありません。


だから、今こそ私の本気の愛を伝えて、彼は一人じゃないと、気付かせてあげなくてはいけないのです。


私だけでも、彼の事愛していると言ってあげなければ…。




私は、幸い彼の家を知っていたので、彼の家まで行きました。


彼の家に、チャイムを鳴らして入るのもなんだか恥ずかしいです。

だから、彼の家からちょっと離れた曲がり角で、待っている事にしました。


そして、彼が出て来たら、偶然を装って角から出てくるのです。


完璧。




そして、数時間待って、彼が出てきました。


彼と、彼のお母さん。


と、


女の子が居ました。


結構、美人だと思います。


彼には、兄弟は居ないはずですから、親戚の子でしょうか?


彼は、その女の子と2人で歩きだしました。


家に送っていくのでしょうか?


私は、彼と女の子についていく事にしました。




2人は公園に来ました。


早く送って行って、彼が1人になればいいのにと思いました。


でも、それどころじゃない出来事が起こったのです。




2人は、



少しずつ近付き、



抱き合い、



キスをしました。





私は、驚きました。


もちろん2人のキスにも、驚きました。


でも、それより、




彼の事、好きとかいう気持ちが、ゼロになったのです。


それに驚きました。




その日私は、何事もなかったかの様に家に帰りました。




後から聞くと、彼と女の子は幼稚園からの幼馴染で、高校が別になってからあまり会えなくなったそうです。


でも、2人は今までと変わらぬ付き合いを続け、そして、結ばれた…という、なんだか漫画の様な関係でした。




私は多分、『誰にも愛されない彼』を愛していたのだと思います。


私にだけ愛されている彼は、私に依存し、そして私は優越感を得る。


周りからは、なんであんなのと付き合ってるんだろう、彼女ならもっとまともな奴と付き合えるのに、と言われる。


私の評価だけ上がるのです。




私の恋の正体はそんなものでした。


そう思うと、私はかなり嫌な人間でした。


今だって、なんで彼に告白してしまったんだと、そう思っているのです。


顔は微妙、頼りないし、趣味もあり得ません。

私の好みじゃないのです。


彼がいい人間だというのは、多分事実なのにです。


私は、自己嫌悪に苛まれました。




それから、幾日か過ぎ…。


私は、校舎裏に居ました。


目の前には何故か、『彼』が居ました。


理解不能です。


「この間は、逃げてごめんなさい…

今度は僕からお願いします、

付き合って下さい!」




さて。


彼が彼女と別れてしまったのか、そうじゃないかは知りません。


でも、答えは一つ。




パシーン!




夕暮れの校舎に、景気の良い音が一つ響きました。




終。


スタンダードな恋愛モノを求めてきた人、ごめんなさい!

まぁ、作者の性格歪んでるって事で。


恋愛がメインの話なんで、恋愛にしましたが……(というか、それ以外ならどんなジャンルだろう?)。

ジャンル違い言われたらどうしよう…。


許して下さい〜。




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