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電話、生長
また二本立てです。
その人はそのボロボロの携帯電話を
何だかとても大事そうに握り締めていた
連絡を待っている様でもあり
怒りを怺えている様でもあった
僕のサンチマンタリスムが堰を切って溢れた
そんな電車のワンシーン
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越してきて直ぐの世界は
ただひたすらに美しくて
その直情的な色遣いに僕は圧倒された
掃除を怠っていた世界は
四隅にホコリが溜まっていて
その厳密な色使いを僕は敬遠した
世界の掃除用具はなく
僕は途方に暮れていた
壁はくすみ床にはホコリが積もって
ゴミ屋敷と化した世界は
引っ越さなければならなくなって
直情的な色使いに会うこともなくなった