きょう あす しんでしまう ねこ
ねこに うまれた りっぱな ねこだ
かりも とくいだ
なんでも ござれ
ここらじゃ だれにも まけやしない
ずいぶん りょうちも ひろくなった
でも ひろすぎた
みまわり すると
へとへとに なる
りっぱな ねこは
たいへん なのだ
だから
ちゅうとんちを ひとつ よういした
りょうりと そうじもする ばんぺい
おおきな にんげんを にんめいした
なんねんも なんねんも なんねんも
ながいじかんだ としを とりすぎた
りっぱな ねこでも かてないあいて
じかんは じゅうを うばっていった
そっと ちゅうとんちを ぬけだした
とても りっぱな ねこだった
ねこの おわりは ひとつだけ
ぼろぞうきん で きえていく
かまやしない
そうさくに
きた
ばんぺいの
こえがした
りょうちを まもれ
にんむを つづけろ
『 ちゅうとんち に かえれ 』
とおくで ばんぺいの こえがする
りっぱな ねこは いなくなるのだ
『 おまえ の せいだ 』
ずーっと ばんぺいの こえがする
めのまえは すっかり まっくらだ
『 おれは おまえのせいで ―――
とても りっぱな ねこだったのに
ただの しあわせな ねこになった
ちかくで ばんぺいの こえがした
「 さみしくなったよ ……
ずっと やせがまん していた
よわねが こぼれてしまうのも
いつも おまえが やさしくしたから ―――
ちゅうとんちの あったかいとこで
ゆっくり からだが かるくなった