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きみのその手に触れたくて 〜リメイク〜  作者: 遥風 かずら
第六章 恋敵クライマックス

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65.七瀬の本音とわたしの本音

「綾希?」

「七瀬にもっと、傍にいて欲しい」

「こ、これは、あやきちの上目遣い……!」

「雪乃さん、茶化すのはやめなって」


 隣に座る七瀬しか見えないし見たくない。雪乃の茶化しも今は気にならないくらいに七瀬が見たい。


「綾希、お前……いや、だって、傍にいるだろ?」

「違う。今だけのことじゃない。教室でも廊下でも、学校のどこでも……隣にいて欲しい」


 これはわたしの本音の気持ち。七瀬が何をどう考えているのかなんてわたしには見えていない。


 優しさと優しいキスをされているのに、それでもまだ寂しいって思えるから。


「俺は……」

「……七瀬は?」


 お互いにまるで答え合わせのように目を合わせていたら、


「お前から離れるなんて、絶対あり得ない。もう悲しませない。辛い思いもさせない。そう思いながら俺自身を我慢させているんだ。そうじゃないと、ずっと綾希に依存してしまう。お前はもう隣の席にはいないけど、本当はずっと近くにいて欲しいって思ってんだよ!」


 七瀬の本音が一気にあふれ出していた。


「本音の答え?」

「合ってる!」


 七瀬も我慢してるんだ。そうじゃないと歯止めがきかないって、分かってるんだね。


「……それなら我慢する」

「そうしてくれ。じゃないと、俺が止まらなくなるんだよ。分かれよ、綾希」

「ん、分かった」


 わたし以上に本気だった。


「おうおうおう、あやきち~それを七瀬くんに言わせるとは、おぬしも中々の小悪魔ですなぁ」

「雪乃は悪魔?」


 毎回言われるけど、雪乃はどっちだっけ?


「ちがーーーう! それ、人じゃないから。ひろも何か言ってよ!」

「そ、そうだね。綾希さん。七瀬は……いや、俺たちって単純だから。綾希さんの気持ち以上に、男ってそれ以上に彼女を思っているんだよ。だから我慢出来てる七瀬は凄いんだ。俺だったらもっと駄目になってる気がする」

「ほっほぅー? じゃあ、いずれは私もひろの我慢を越えさせることが出来るわけだ~?」

「どうかな?」

「なんだとー!」


 あれ、こっちはこっちで雲行きが怪しい。


「雪乃と弘人って……付き合ってるんだっけ?」

 

 まだそうじゃなかったら失礼だからここは真面目に訊いてみる。


「えーと、どうなのかな。どう思う? 雪乃さん」

「どうって……現在進行形? あやきちと七瀬くんの様な関係ではありませんことよ? オホホ……」

「うん。でも、いずれはそうなりたいね」

「お、おお。期待してますぞ」


 雪乃も変な言葉で誤魔化すけど、多分彼女なりの我慢だと思う。そうだよね、わたしだけの問題じゃないんだよね。


「泉は綾希よりもお笑い系目指してんのか?」

「ないない! あやきちには勝てませんよ? あやきちの笑いに勝てなかったから、七瀬くんは好きになったんでしょ?」

「まぁな」

「ならば、あやきちの面白さを維持してあげてくれたまえ! 期待しているよ」


 そして七瀬と雪乃の合いの手はかなり極まっている。


「ははっ、泉も面白いな! もっと前に仲良くなっとけば良かったな」

「ですです! それは私も思ってるよ。おっと、七瀬くんは私じゃなくてあやきちだけを見ていなさいよ」

「……七瀬の気持ち、分かってる」


 七瀬がわたしに目をやってくるので、黙って頷いてみせた。


「あぁ、大好きだ。綾希」

「わたしも」


 ……ここは学校で昼休み時間。確かに我慢しないと皆に分かられてしまうから駄目だ。


 でも、そんな中で言いたい。


 ありがとう、大好きだよ七瀬――と。

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