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きみのその手に触れたくて 〜リメイク〜  作者: 遥風 かずら
第五章 ラブ・カルテット

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47.七瀬トライアングル④

 放課後。


 七瀬と席が離れた影響もあって、七瀬からわたしに話しかけてくる機会もなかったせいか、教室に彼の姿は無かった。


 もしかしてもう帰ったのかな?


 そんな風に思っていながら廊下に出ると、先生に呼び止められる。


「葛西さん、もう帰る?」

「はい。何も無いので」

「それじゃあ悪いんだけど、このノートを七瀬くんに返しておいてくれないかな? 彼のノートだけ返し忘れちゃって。ミスしちゃいけないことなのにね」

「……どうしてわたしに?」


 まさかだけど、先生にわたしと七瀬の関係が――


「――いつも課題は彼に借りてるんでしょ? あれ、違いました?」


 あぁ。


 先生にはバレバレだった。


 まぁ、回答がまるきり同じなら気付かれるよね。でも怒ってるように感じないけど何で?


「え、えっと……ごめんなさい」


 そうだとしても、とりあえず先生に向かって慌てて頭を下げた。


「ん~別にいいの。だって、彼と付き合ってるんだよね? 体育祭での様子とか、教室の様子を見ていたら担任なら何となく気付くから。でも、たまには葛西さんの力だけで課題をやってほしいかな」


 ……今は付き合ってないです。


「……はい。ごめんなさい」

「そんなわけだから、彼の家に届けに行ってくれると助かるしノート丸写しの件は目をつぶるけど、どうする?」


 これはある意味、先生からの慈悲もしくはお情け?


「分かりました。わたしが責任もって届けます!」


 七瀬の個人情報のはずなのに、わたしとの関係を知っているってだけでそれはいいのかな?


 でも、七瀬もわたしの家に来たことがあるしおあいこか。


 そして――いつも持ち歩くだけで全く使わないスマートフォンの地図を頼りに、七瀬の家を目指すことに。


 彼の家は電車で橋を二本ほど渡った所にあるみたいで、登校してくるのに結構時間をかけてきている事実に気づく。


 思い当たるといえば水族館に行った時、近くだから割と慣れている……みたいなことを言っていたのを思い出した。


 そうして彼の家の近くっぽいところを歩いていると、いつも見慣れている彼の姿と……あのミステリー女のふたりが一緒に歩いているところに出くわしてしまう。


 七瀬とわたしは今は付き合っていない――それなのに、その姿を目撃しただけで胸がすごく痛くなる。


 何故だか分からないけれど、とてもチクチクと痛みが襲ってくる。それでも先生に頼まれた以上、彼の家に行ってノートを届けないと駄目なわけで。


 ふたりで一緒にいようがお構いなしに行く……行かなければ駄目な気がした。


「お前、今の彼氏……あいつと上手くいってないのかよ?」

「普通。でも、輔に聞くのが楽。だって数少ない友達だったわけだし? 今は全然連絡取ってないんじゃん? いくら学校が違うからって、少しくらい相談に乗ってやればいいのに。それに、私も元カノなわけだし? 元カノの愚痴くらい聞いてくれてもよくない?」


 いったい何を話しているのか分からないけど、やっぱり近所だと会ったりするのかな。


「お前、そんなことのために学校の近くにまで来てんじゃねえよ! そのせいでおかしなことになってしまってんぞ?」

「もしかして、あの変わった女子? ん~元カノとしては輔に見合うかどうかを確かめたかったわけなんだけど。ただ、どうしてか知んないけど他の男と仲良さげにコンビニ袋とか持っててな~んか、ムカついたっていうか」


 何を話しているんだろ?


 全然聞こえないけれど黙って見守るなんて我慢できるわけないし、行くしかない。


 七瀬とは正真正銘の友達だし、同クラなんだからいいよね?


「七瀬」

「え!? あ、綾希か?」

「おやおやぁ? なぁんであなたがここにいるんですかぁ? もしかしなくても、輔に会いに来たとかですか~? ちょっと引くんですけどぉ?」


 あれ、綾希って呼び方?


 隣の自称元カノとは何を話していたの?


 それよりも、どうしてそんなに焦っているんだろ。やっぱりわたしに会いたくなかったのかな。


 ……教えてよ、輔。

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