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きみのその手に触れたくて 〜リメイク〜  作者: 遥風 かずら
第三章 彼と彼氏と友達

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27.さり気ない優しさに

 七瀬と一緒に外へ出たわたしは、敵と化したおなクラ女子たちから一斉に睨まれたり、攻撃を受けるかと思っていた。


 だけれど、特に大きなことは起きなかった。雪乃によれば林崎くんが女子たちをなだめてくれたのだとか。彼も七瀬と同じくらいに女子人気が高かったから、雪乃の言葉に納得出来た。


「あやきち、クラTの資金が戻ってきたぜ! 打ち上げしようぜ!」

「なぜ?」

「ほら、一応勝利のお祝い的な感じで」

「おめでとう?」


 そっか、ウチのクラスが勝ったんだ。


「それ! で、七瀬とサボってたあやきちはコンビニ行ってこ~い!」

「ん、分かった。でも、正確にはサボりじゃなくて怪我人」


 わたしと七瀬が二人でサボってたって、そう見られてるんだ?


 そんな七瀬はというと、沙奈を筆頭に女子たちに囲まれて質問攻めにあっている。流石にあの状況からは抜け出せそうになさそう。


 コンビニに行くのはいいけれど、他の男子に手伝ってもらうしか。雪乃はすぐにどこかへ行ってしまったし、誰かいないのだろうか。


「葛西さん、七瀬が大変みたいだね。俺が手伝おうか?」


 雪乃以外の仲がいい女子を知らないし、他の男子ともほぼほぼ話をしたことのないわたしにとって、ここで声をかけてくれた彼は救世主とかヒーローとかそんな感じに思えた。


「お願いします」


 残念なことに学校を出て直ぐの所にはコンビニは無くて、少し歩かないといけなかったりする。


 近くないからこそコンビニ袋を一緒に持ってもらおうとしていたのに、七瀬の代わりというと失礼だけれど、林崎くんが名乗りを上げてくれて素直に嬉しく思えた。


「大変だったね、七瀬と」

「そうそう。ああいう隙のあるところが七瀬の悪いところ」


 そういうところも含めて可愛くて好きだけど。


「だね。あいつはいい奴には違いないんだけど、ちょっとしたところが気が利かないっていうか、あいつは良くても葛西さんには大変だってところを気づけない鈍さがあるんだよね。だから、ごめんね」


 それは言い過ぎじゃない?


 それに、


「なぜ林崎くんが謝るの?」

「友人だから、一応ね」


 林崎くんは、七瀬とはまた違った感じの優しさがある。話し方も沙奈といた当初と比べると全然違うし、あの時の自分は本当の自分じゃないとか言っていたけど、あながち間違いじゃなかったみたい。


 今の話し方なら柔らかい感じだから、他の女子にはいいかもしれない。雪乃にもチャンスがありそうな気がする。


「……さん、葛西さん?」

「あ、なに?」

「なんか考えてたの? それなりに歩くし疲れるけど、膝はもう平気?」

「平気だから」


 膝のことなんかとっくに忘れてた。それよりも、今は雪乃へのフォローをどうするかが問題。


「……まぁ、そうじゃないと俺が悪者にされて七瀬に怒られてしまうよね。膝を悪化させてどうするんだよ! って感じで」

「七瀬ならきっとそういうと思う」

「俺さ、かなり後悔してるんだ」


 そもそもこうして林崎くんと二人で話をすること自体、久しぶりかもしれない。彼は心を入れ替えて以降わたしをいいなと思ってくれていた。


 だけど、わたしはあっさり断った。好きとかそんな言葉ではなかったにも関わらず、単純に興味がなかったから。


「後悔?」

「最初っから本当の俺を出して葛西さんに話しかけていれば、今と状況が違っていたかもしれないなって。そのことがあって、七瀬に……」

「七瀬に?」


 首を傾げながら、林崎くんの言葉に耳を傾けていた。


「葛西さん、ごめん!」

「――え」


 そのせいか一瞬だけ音に気付かなくて気付いたら彼に腕を掴まれ、歩道の内側に引っ張られていた。自分たちを横切ったのは、ながら運転していた自転車の人だった。しかも、わたしに気付かずにそのまま通り過ぎてた。


「ふぅ。危なかった。多いよねこの辺……って、あ――」

「……」


 引っ張られてそのまま林崎くんの胸元にまで接近してた。七瀬よりも背がそれほど高くない彼の顔が間近にあった。これには流石に驚いた。


「ご、ごごご、ごめんっ!!」

「今のは危なかったから」

「と、とりあえず、もうすぐコンビニに着くから気を付けて歩こう」

「はい」


 ……林崎くんは自分を落ち着かせながらも、足取りはとてつもなく早歩きになっていた。


 もしかして、色々と焦らせすぎちゃった?

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