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きみのその手に触れたくて 〜リメイク〜  作者: 遥風 かずら
第二章 隣の席のカレシ

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22/75

22.七瀬の汗は神々しい?

 じめっとした季節の体育祭。


 それでも、陽射したっぷりに晴れていれば時季とか関係ないって思えてくるから不思議なんだけど。


 本番を迎え、票を沢山集めたクラスTシャツを着ながら同じクラス、同じ色のチームを応援し続ける光景が繰り広げられていた。


 そんな中、わたしを含んだ強制参加者以外は座って眺めてるだけの存在。あくまで自由参加であって、決してサボりじゃないという感じで自由な時間を過ごしている。


 緩い感じがあるからこそ、ウチの学校は人気があるかもしれないって気づいた瞬間でもあった。


「あやきち、七瀬が走るっぽいけど応援は?」

「してる」

「そこからだと見えないんじゃない?」

「座って応援。それで伝わる」


 いちいち立って存在アピールしなくてもクラス別の区画だし、そこにいるって知ってるからこれで充分。


「そ、そっか。それならば何も言うまい。ってか、七瀬の汗やばいね」

「大量すぎて?」

「じゃなくて、光ってる。あんなの直視したら女子人気が間違いなく上がる」

「七瀬の汗が輝く? あれ、七瀬ってどこかの星の人だっけ?」


 女子たちが声援しながら騒いでいたところに注目してみた。


 すると、陽射しを浴びたイケメンの汗は爽やかに流れ、それが神々しく光り輝き、直視出来ないくらい眩しく見えるんだって――などと雪乃から解説された。


 その中でも走っている七瀬の額や腕から流れる汗は、陽射しの光が反射してまるで星のようにキラキラと輝いて見えるとか。


「見てるだけですごいキタ! ってくらいに一所懸命なイケメンの人ってだけ! 言うなれば自然イケメン、そして注目を浴びる星の光のような王子なわけ」

「そうなんだ?」

「うむ! そんな光の王子とあやきちは付き合ってるわけだよ。ちくしょー!」


 雪乃は悔しがってるけど、むしろ楽しんでる感じ。


「光る王子の七瀬……わたしが地味だから丁度いい」

「ん~あやきちは割と目立ってるけどね。話すまでは何とも言えなかったけど、面白いし天然だし、何かおかしいし。まっ、味方もいるから安心しなよ!」

「どういたしまして?」

「うんうん、それそれ。それが彼にはヒットしたかもね」


 確かに七瀬はわたしの変顔から気になりだしたらしいし、彼の中では大ヒット。隣の席の恩恵をまともに受けられたから先生には感謝したい。


「おぉぉ……! 私の推しの林崎っちも捨てがたい! 可愛い系は萌えるね~」


 なんだかんだで七瀬と林崎くんは女子人気が抜群に高い。最初の印象が悪すぎたせいで林崎くんを避けていたけれど。


 だけど、今の林崎くんは優しさに柔らかさがプラスされて、気遣いが完備されているところが女子にはいいことなのかもしれない。


「あやきち、林崎っちが手を振ってる!」

「ん~手は雪乃が返してあげて?」

「や、あやきちに振ってるぽいな」

「手が上がらないから代わりによろしく」


 嬉しいけどわたしは七瀬に手を振りたい。それに、林崎くん狙いの雪乃に任せた方がきっといいと思うし。


「それなら仕方ねぇ! 任された!」


 そんな感じで午前中はずっと座って見てた。体育祭に親とかは特にいなくて、だけど、呼んでもいないのに勝手に兄だけが来ている。


 七瀬と鉢合うのは勘弁してほしいところ。


 願わくば会わずに無事にやりすごせれば――なんて思いながら、お昼は仕方なく兄がいるところに行くことに。


 もし遭遇してもお願いだから変なことを言わないでほしい――そう思いながら。

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