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きみのその手に触れたくて 〜リメイク〜  作者: 遥風 かずら
第一章 きっかけ

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13.友達と恋敵

「綾希、もしかして惚れたん? 輔のこと随分見てたけど好きにでもなった?」

「分からない。でも、好きかも」

「あ、それでか。一緒に教室に来てなかったのは! 納得したわ。……それでどうする? 戦う?」

「戦うって?」


 保健室から教室までそんなに遠くもないけれど、七瀬について沙奈が聞いてきた。正直に話したら勝負挑まれたっぽいけど。


 友達ってたまに戦ったりするものだっただろうか。


 ……それとも?


「沙奈って、友達?」

「綾希と友達って意味なら合ってる。どしたん?」

「戦うって何なのかなって」


 まさかここで取っ組み合いをするでもないだろうし。


「恋敵って書いてライバルってやつ! 輔のこと、あたしも好きだから。だから、綾希には弘人と付き合って欲しいって思って紹介したのにまるで相手にしてないとか、彼が可哀そうやわ」


 ――あぁ、それでなんだ。


 弘人の話が本当なら、単なる相談相手として仲良く見せてたって意味だよね。()()が済んだから本命の七瀬の方にきたんだ。


「弘人とずっと話をしてたのは沙奈だよね。雰囲気とか見てもお似合いって思ってたし、七瀬とあまり話をしにきてないから興味は弘人の方にあると思ってた」

「あたしが興味なさげにしてたから綾希は輔が好きになったん?」


 ――好きに……というより、隣同士でいつも話をしてたし優しさで出来てたから、嫌いにはなれなかった。


 そういう意味で沙奈の言うように七瀬のことを好きになってるかも。まだ分からないけど。


 だけど、七瀬の代わりに弘人と仲良くなるってそういう問題じゃないし。


「そうかも」

「まだ確定してないんなら、あたしが先に告るわ。それは平気なんやな?」

「……分からない」

「まぁ、今は教室戻ろか。輔が元気になってからでええわ」


 沙奈の恨みっこなし宣言って、これだった。


 それは無理かな。

 それならもう七瀬、七瀬がいい。


 元カレと違ってすぐ隣にいて距離近いし優しいし、好きかもしれないし。もう気持ちの我慢をやめることにする。


「葛西さん、宮前みやまえさん。七瀬君の様子はどうでしたか?」


 教室に戻ったところで先生が声をかけてきた。


「昼前には治るっぽいですって、自分で言ってました。多分治ると思います」

「多分って……。葛西さんはどうして保健室に行っていたんですか?」

「保健医の先生がいなかったから来るのを待ってました。それだけです」


 保健医が来る気配無かったけど。


 ……だからこれは嘘。単純に七瀬の隣にいたかっただけ。これはきっとそういう気持ち。


 だから、恋敵になられる前に決める。


 わたしの隣は七瀬がいい。


「分かりました。じゃあ、二人とも席に着いてね」


 わたしはいつもの窓側の席に戻り、沙奈は廊下側の一番前に戻った。わたしの隣には今、誰もいないけど。


 七瀬が戻ったら七瀬の席に戻るだけ。


 ――早く七瀬に会いたい。


 話をして、もっと七瀬の近くにいくために。

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