紙飛行機に乗せた独白は新たな希望
とてもではありませんが1000文字に収まらず、私の構想していた内容の3割程度しかないため、状況が理解しにくいと思いますが、ご了承ください。
『辛い』
この一言の独白から始まった彼との文通は、一体何処に消えてしまったの。どうして私は妹の代わりに文通をしなければならないの。
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私は伯爵家の長女でありながら微々たる魔力しか持たないため、強力な魔力を持つ妹だけ可愛がられ、家族から虐げられてきた。唯一出来る魔法が軽い物を動かすこと。そのため、家族の前で吐けない辛い独白を紙に書いて紙飛行機として何処か遠い場所へ飛ばしていた。
そんなある日、私のもとに折り方が異なる紙飛行機が落ちてきた。その紙飛行機を広げると、『どうして苦しいの?』という言葉がある。最初は偶然だと思っていたが、いつも独白に対する質問が返ってきて、紙飛行機の主に届いているのだと分かった。
それから私は紙飛行機の主と文通することになった。文通して分かったことは、彼がレノックス公爵家の嫡男グレン様と手に届かない相手であること。その正体は嘘かもしれないが、優しい彼と文通するのは本当に幸せで、私の唯一の希望だった。
なのに、妹に文通がバレ、相手が公爵令息であることもバレて、完全に文通相手が妹に成り代わってしまった。今の私はただ妹に言われるまま文章を書いて紙飛行機を飛ばすだけ。私は今の行動が何よりも辛くて悔しかった。
本当は何度も彼に妹が成り代わっていることを伝えたかったが、劣っている私を知られたくないと毎回紙飛行機を飛ばすのを躊躇してしまう。そんな自分に呆れて半年後にしたことは、反対側に彼に読まれることもない独白の紙飛行機を飛ばすことだけだった。
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『伯爵家を訪ねたい』
その文章に妹は大喜びした――求婚されるのだと。確かに訪ねる=婚約者なのだから間違いないだろう。私が初めて恋した人が妹と婚約することになるなんて、認めたくないし、その様子を見たくもない。
彼が庶民だったら良かったのに。それなら妹と婚約することもなく、文通を続けられたのに。もうここから逃げ出したくてたまらなかった。
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何故2人の様子を見届けなればならないのか。部屋に篭もりたいのに妹が見せつけたいからと無理矢理に居合わせられて。もう来ないで欲しいと思うものの、彼は来てしまった。さようなら私の初恋。
「メイ令嬢、私と結婚してくれますか?」
私は耳を疑った。だって妹ではなく私の名前を呼ばれたから。
「最初の文通相手である貴女が好きです」
気づいていたんだ……入れ替わっていたことが。
親や妹が悔しがる中で、偽りもない『はい』を答えた。
ご覧いただきありがとうございました。
また今後、しっかりと改稿と加筆をした物語を作りたいとお思います。