日本は格差が小さいという神話
日本は格差が小さい国と認識されている根拠の一つが
大竹文雄氏の2005年の論文です。
日本の所得格差が大きくなったのは高齢化が原因で
実質的な格差拡大は「みせかけ」であるとの説です。
実はこの論文には非正規社員のデータが含まれていなかったのです。
「日本型格差社会」からの脱却P120 著者 岩田規久男
この論文の3年前の2002年時点で非正規社員の比率は全体で29%
男性で15%、女性で49%あったにも関わらずです。
非正規社員を考慮した別の研究、太田清(2005)では
「全ての年齢層で所得格差は拡大した」との結論が導かれています。
太田氏は従来の研究が非正規社員を考慮しなかった理由を
「これまでは非正規のデータが無かった為だろう」と言っています。
2006年のOECD「対日審査報告書」では
日本の相対的貧困率は、先進国でアメリカに次いで高いと発表しています。
2000年のアメリカが13.7%、日本が13.5%
その後データが更新され
2021年ではアメリカ16.9%、日本15.3%になりました。
「日本型格差社会」からの脱却P122 著者 岩田規久男
岩田規久男先生はこうなった原因の一つが
日本政府の税による再分配の下手さとおっしゃっています。
因みに政府の所得再分配効果には消費税は含まれていないので、
発表している効果よりもっと低くなります。




