みんな規制緩和嫌いだよね
企業が労働者を解雇する場合
労働契約法16条の「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という条件があります。
具体的には
整理解雇の4要件と呼ばれ
①人員削減の必要性
人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること
②解雇回避の努力
配置転換、希望退職者の募集など他の手段によって解雇回避のために努力したこと
③人選の合理性
整理解雇の対象者を決める基準が客観的、合理的で、その運用も公正であること
④解雇手続の妥当性
労働組合または労働者に対して、解雇の必要性とその時期、規模・方法について納得を得るために説明を行うこと
のこれら4つを満たす必要がありますが、
特に厳しいのが②で非正規社員や新卒を雇うなら、今いる従業員を解雇してはダメ
という物です。
そして整理解雇の4要件は正社員は保護されますが、非正規社員には適用されません。
もしこの状況で不景気になった場合、その被害を真っ先に被るのがこの法律で保護されない非正規社員と新卒です。
じつはこの状況は民主主義の否定なのです。
民主主義の利点に有権者が選んだ政治家の失敗は有権者自身の責任という面がありますが、
この法律は経済政策が失敗した時期にたまたま社会に出た若者と、
非正規雇用者に不景気の負担を押し付ける物です。
これが氷河期世代が生まれた背景です。
そして好景気になった場合の果実は今雇われている正社員に集中します。
解雇規制を緩和した場合は被害も果実も全世代に分散されます。
解雇規制緩和とは好景気、不景気の影響を集中させるか分散させるかの
違いがあります。
2003年の小泉純一郎内閣で労働者派遣法が規制緩和されたと言われていますが、実際には派遣労働者という新たな種別を作り派遣会社という中抜き会社を肥え太らせる
規制強化政策です。
解雇規制緩和をすれば労働者を解雇しやすいという派遣労働者を雇う企業のメリットが1つ失われ、その分労働者と経営者に還元されます。
派遣市場規模は2020年で8兆6209億円です。
ちょっと古いデータですが、その内35.4%が派遣会社の取り分となっています。
派遣労働者は男女合わせて140万人なので、
8兆6209億円/140万人=615万円
雇う企業は一人当たり年間615万円払っていますが
労働者が得るのは398万円
派遣会社は217万円得ている事になります。
派遣会社という本質的な付加価値を作っていない集団に
毎年3兆円以上払っているのです。
これは法律と規制によって庶民を収奪し労働者を階級化する不平等政策です。
もしセルフ経済制裁が大好きな今の日本政府の下で解雇規制緩和をしないと
政府は財政の黒字化政策を行っていますので、
増税によって市場のお金を回収し国債の返済に充てると円の総量が減るので
円高が進みます。
そうなれば日本人は輸出企業の海外拠点化を防ぐ為に低賃金で働く必要に迫られます。
デフレ政策時に低賃金にしなければ工場は海外に出て行ってしまいます。
もし解雇規制緩和をしなかった場合、またしても氷河期世代が生まれ
今度は私達が若い世代から恨まれる事になります。
もう同じ間違いを繰り返すのはまっぴらですし、
あんな苦しい思いをするのは私達の世代だけで十分です。
まとめ
解雇規制緩和は
好景気や不景気の影響を全世代に分散する
よって政治の失敗も成功も全世代が受けるので民主主義的政策
派遣会社の中抜きが減る
経営者は解雇の手間が減るので新規採用に前向きになります。
規制緩和で生じると思われている過当競争は
増税や日銀の金融政策が原因の需要不足が原因なので
規制の有無で対応する事は出来ない
個別企業で見れば出来た様に見えるが
全体で見れば規制に守られていな人にしわ寄せが行く。




