いち
タッ タッ タッ タッ………………
「……ん?」
下校中にふと、
こんな店あったか?
と、思った御島ノイル。
(無夢奏屋…?こんな店あったっけ?)
気になったノイルは店に入ってみることにした。
チリン チリン
と、キレイな鈴の音。
「お客さん…珍しいねぇ……」
と、奥から深々とフードを被り、口だけをのぞかせたヤツが出てきた。
フードから、おさげのように髪が降ろされていた。
ヤツは、フードから膝丈ぐらいまである、長くて黄色いワンピース(?)にジーンズを着用していた。
ワンピースもどきの袖は、着物の様に長かった。
「最近開店したんですか?」
「いやぁ…?うちはずーっとここでやってるよぉ〜?」
(おかしいな……こんな店見たことない…)
「ここ、どんなことしてるんですか?」
「ん〜?なんでもするよ〜?」
「な、なんでも…?」
「うん。お悩み相談も〜、お遊びも〜、色々やる。」
「今日はなにやるんですか?」
「今日はねぇ〜……そうだなぁ…」
チリン チリン
振り返ると、そこには顔がない……というか、顔が黒いもじゃもじゃで、その上に白い目と口らしきものが見受けられる、スーツを着た背の高いヤツが立っていた。
「あ、ソラ!」
「ルカ、暇だから来たよ。」
「じゃあ今日はお絵描きだね。」
「え…………っと……?」
「あぁ、ごめんごめん。こいつは俺の友達のソラ。」
「ソ、ソラさん?」
「あれ?新入り?」
「ち、違っ…!」
「え、ウチ来ないの?」
「へ…?」
「ま、いいや。俺達と絵、描こう?」
「え、あ、ちょっと!」
と、半ば強引に奥に連れてかれた。