プロローグ
プロローグ
辺り一面の桃色。しかし、桃色と言っても、様々な桃色がある。枝垂れ桜のような桃色、ソメイヨシノのような桃色、八重桜のような桃色……他にもたくさんの桃色がある。
では、その桃色の物体は何か?
答えは桜だ。枝垂れ桜、ソメイヨシノ、八重桜………ありとあらゆる桜がこの空間を覆っている。
いや、たくさんの桜は少し間違いがある。これらは全て、一本の桜で出来ている。そして、その木はとてつもなくでかい。なにしろ今俺の立っているところは幹なのだ。そして、俺が立っている幹の真ん中には、一本の桜が生えている。その桜だけは、他の桜たちとは格が違うようだった。
どうやったらそんなに大きくなるのかは皆目見当もつかない。というか、なんで違う種類の桜が一本の桜として纏まっているのだろうか?
そんな、疑問が浮かんでは消えていく。
でも、今はそんなことはどうでもよかった。
そんなのを考えることが馬鹿らしくなるほどこの場所が美しかったのもある。
でも、それ以上に…!
俺は、俺と共にこの空間に立つ少女を見た。
綺麗な黒髪。つやつやとしていてまるで黒曜石のようだ。その朱に染まった頬や、桜色の小さな唇は、優しく微笑んでいるのに…なぜかとても泣き出しそうな顔をしていた。年は、確か十七だっただろうか?十七にしては少し発展途上すぎる体に………いや、そんなことを言ったら彼女はへそを曲げてしまうだろう。
服は、生地の薄い薄桃色の着物、若葉色の帯がよく映えていた。そして、彼女の右手には彼女の身の丈ほどある無骨で鋭い槍を携えていた。
最後に、その黒曜の髪から、そして尻の辺りから生えたこれまた綺麗な夜色の猫耳としっぽ。
嗚呼、やっぱりこんな世界どうでもいいな。
今はただ、ただ君に夢中で…………