レベル2ステージ12ミッション12:ランクアップ争奪戦(12)
前回のあらすじ
ボディラダとの戦いに勝利して、ボディラダを家来(?)にした快。2回戦目を見に行こうとした快だが、着いたときにはボコボコにされたガレンの姿があり…
医務室に入ると、ガレンは元気そうにミヨと話していた。
「ガレン、大丈夫なのか?」
「まぁ、一応は…瞬殺されたけれどもね…。」
ガレンいわく、開始のゴングがなった途端に、ジルドスが消えて、気がついたらここだったという。
「痛みは?」
「いや、まったくしない。まるで、眠らされたような感じだ。」
催眠系統の技を即座に使い、ガレンを眠らせる強さ…となると絶対にランクはB以上が確定したな。でも、ボコボコのような服ということは演出か?
「まぁ、とにかく無事で良かった。」
「お兄ちゃんが倒れたときは、ホントに泣きそうだったよ。」
ミヨも自分なりに心配していたらしい。まぁ、兄妹だから当たり前か。
「それよりも、快。次はあんたが親しそうに話していた人が出るんだぞ?見なくて良いのか?」
「そうだったな。見てくるべ。」
医務室の前で待っていたボディラダに頼み、俺は再び闘技場へと向かった。
「さぁ、Bブロック第一試合!出てきたのはこの男!冒険者になったばかりの男:名雲 明!」
なんとか始まる瞬間に到着できた。明を応援したいが、相手は…
「対するはこの男!剣聖王の家系で長男!現、最強とも言われる冒険者:アルトリウス!」
相手はあのアルトリウス。チート能力を持ってそうな明とはいえ、この世界で指折りの冒険者であるアルトリウスに勝てるだろうか。
「Aブロック1回戦みたいにどんでん返しがあるのだろうか!では、始め!」
最初に明が動いた。明が持っているのは小型のサバイバルナイフのようなものだ。えっ、待って。俺は木なのにどうしてあいつは鉄を…。でも、ここまで残れる人だから、それぐらい持っていてもおかしくはないか。俺が答えにたどり着いたとき、明は必死にナイフを振り回した。
「そのような小型のもので行けるのかい?」
「行けるとは思っていませんが、粘りだけはしますよ。」
明の切り付けはアルトリウスにかすりもしない。気になるのはアルトリウスだ。一切、剣を使わない。
「アルトリウスさん、どうして剣を使わないんだい?」
「君はEランクで、僕はAAだ。どうすれば良いのか悩んでいるのだ…。」
なめているな、アルトリウス。だが、相手がEランクではさすがにアルトリウスはどうこうできないのかな?
俺がそう思っていると、試合が動いた。
「その油断が命取り!リメンバーフェイク:セイクリッドエッジ!」
なんと、明が剣聖王の家系の力の内の1つであるセイクリッドエッジを使ったのである。それに対して、驚いたアルトリウスは直撃してしまった。
「うぐっ、それは先代の技!どうしてあなたが…。」
「俺は近くにいる人の記憶上の技を見よう見マネで使えるのだ!」
ということは、相手が達人レベルだとか、師匠みたいな人がいれば、それらを使えると…。チートすぎるだろ。俺がそう思うと
「終わったね。」
とボディラダがぼやいた。
「ボディラダ、どういうわけだ?」
「聞いたことあるのだけれど、アルトリウスの前で先祖の話とか、技を見せるのはアルトリウスにとっての地雷なのよ。」
えっ。ということは…。
「や、やめろ!僕の前で先祖の技を見せるなぁぁぁ!」
アルトリウスは剣を弓へと変えた。
「セイクリッドアロー!!!」
アルトリウスは即座に技を打ち、明に命中。急に怒り始めたアルトリウスに対応できなかった明は、まともにくらってしまった。
「ぐあぁぁぁ!」
「Bブロック1回戦…アルトリウスの勝利です…。」
場は凍りついていた。マルレッタでもこの反応。今まで貴公子みたいなアルトリウスが、いきなり怒り始めたとなると急に対戦相手を倒してしまったからだ。それに気づいたアルトリウスは気まずそうに、帰っていった。
「ボディラダ、明を!」
「うぃ。」
俺は誰よりも速く、ボディラダに頼み、明を医務室へと運ばせた。
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今回も読んでいただきありがとうございます。レベル2ステージ12ミッション11いかがだったでしょうか?
ちょっとした追記です。快が名雲のことを明と呼ぶようになったのは、親しくなったからです。実際に、快は社を仁美と呼んでいました。そういう性格だということをご了承ください。
それでは次回にてまた会いましょう