レベル2ステージ9:通わす時
前回のあらすじ
獣人の姫であるメルシアを活気のある状態まで戻して、快たちは王様を助け出すための作戦を模索して、次の日の夜に決行となった。
明日の夜に決行となったアンナイの作戦。それまで俺たちはどうするかを話したら、「それは私が済ますから。」とアンナイに言われた。ジウもホントに作戦通りの場所にあるかと思い、偵察に行った。ソラとケモドはアンナイのパシりとして、連れていかれている。つまり、今、家にいるのは俺とメルシアだけだ。
「メルシア、動けるか?」
「なんとかね…。」
少し無理そうな顔をしている。昨日、食べ過ぎたということもあって、メルシアはゴロンとしながら、尻尾を掻いていた。おそらく、メルシアの尻尾は汚れているのだろう。
「こっち来て。メルシア。」
「ん?うん…。」
俺は引き出しにあったブラッシングを持って、メルシアの毛並みを揃えた。風呂に入ったことで、汚れは取れたのかと錯覚していたけれども、ノミとかは取れてないようだ。
「んん…気持ちいいれすぅ。」
「これでもブラッシングは得意だからな。」
俺はかつて美容師になろうと思っていて、独学で色々と知識を得ていた。その時に動物のブラッシングのバイトを受け持ったこともあるから手慣れているのだ。
「よしっ、できた。」
「あ、ありがとう。」
「ありがとう」と言ったメルシアの顔は笑っていなくて、快は笑わそうと思い、様々な元の世界でのネタを披露した。そうすると、メルシアの顔が少しずつ笑顔に変わり始めた。それを見て、快はさらにハードルを上げた。
「次は!こうっ!」
「あはははっ!」
その後も快は1時間、披露し続けた。
「ふぅぅぅ、久々に疲れた。」
「メルもこれだけ笑ったのは、何年ぶりだろう…。」
メルシアと俺はここ1時間の間に、心を通わせていた。ソラと同じような共鳴を感じるようだ。
「さっきはごめんね。ブラッシングしてもらったのに嬉しそうにしなくて…。」
「良いよ、良いよ。」
すると、メルシアは少し暗くなって、打ち明けた。
「メルはまだ、あなたたちのことを信じられてないの。ケモドさんも言ってはくれたけれども、メルは…」
「人間たちにあんな風にされた過去があるから、信じようと思っても信じられないんだな?」
メルシアはコクりと頷いた。
「確かにそうかもな。人間は平気で嘘を付くし、平気で人をポイ捨てすることもできる、ある意味醜い生き物かもね。」
俺はそのまま続けた。
「でも、心から思える人間もいる。それは他の全ての生物もそれが言えることだ。そんな愛情を平気でポイ捨てするのではなく、どのような形であれども、受け入れるべき時もある。こんな俺が言ってもあれだけれど…」
俺はメルシアの手を握った。
「俺たちの心からの愛情を受け取ってくれ。そして、俺たちを信じろ。」
その言葉が身体に染み渡ったメルシアは快にを抱きついてきた。
「どうしたんだ?」
「夜までいさせて。」
俺はそれを受け入れて、メルシアを夜まで(ジウが帰ってくるまで)続けた。
そして、夜。俺たちは動き出した。
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今回も読んでいただきありがとうございます。レベル2ステージ9いかがだったでしょうか?
今更ながら、2つほど思ったことがあります。1つ目は抱きつくの行為描写が多いなと感じてしまったことです。2つ目は前回までのあらすじとなってしまっているので、それ以前のことも書かなければ、ならないのかという疑問を持っています。コメントできるよ。というかたはできれば指摘してほしいです。
それでは次回にてまた会いましょう