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この『運』は、キミを救うらしい  作者: カラスヤマ
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気分転換を兼ねて、ネムと鮎貝と三人で海に遊びに来た。


「結構、人いるね~」


「そうですね。ネムちゃん、海に入る前に肌にクリーム塗ろうね。キレイな肌を守らないと」


「うん。塗りっこしよう!」


微笑ましい光景の遥か先。僕が逃亡しないように警備責任者のハルミが遠くから目を光らせ、監視していた。


「……………心配し過ぎだって」


水着に着替えたネムと鮎貝。こちらに走り寄る美少女二人。その姿が、プロモーションビデオのように輝いて見えた。

海岸にいる輩は、彼女達が放つ華やかさにざわめき立っている。


こちらにくる数十メートルの間に何度も色黒の男達にナンパされていた。

そんなしつこいナンパ男にキレたネム。容赦のないネムの小さな拳に顎を撃ち抜かれて気絶していた。


「だ、大丈夫?」


「もうっ! しっかり私達を悪漢から守ってよ。ただ突っ立ってないで。お前は、案山子かって!!」


「前田さん。最低限の男気を私達に見せてください」


鮎貝も少し怒っているみたいだった。


「ごめんね、なんか……」


一応、謝っておくことにする。


「童貞の案山子かって!」


「しつこいなっっ!!」


その後、海の家で買ってきたフルーツジュースと焼きそばで何とか二人の機嫌が回復した。今は、二人で仲良く砂遊びをしている。


僕は、三個目のジュースと焼きそばを鋭い視線を放つ長身美少女まで配達した。


「ただ見てるのって疲れるだろ? せっかく来たんだし、少し遊んだら?」


「いえ、仕事中ですので」


「じゃあさ、こんなんで良かったら飲み食いしてよ。水分とらないとマジで熱中症になるよ?」


「………」


「ほら」


「…………ありがと…ござい…ます…」



強引にハルミに手渡すと、僕も水着姿になって久しぶりに海に飛び込んだ。


「どうした? 急に股間を押さえて。私達に欲情しちった?」


「前田さん。さっきから私の胸ばかり見てますしね」


「私の胸は、ずっと行方不明かってか?」


「ち、ちがっ!」


ネムに尻尾で首を絞められるわ、股間をクラゲに刺されわで。


まぁ………でもさ。何だかんだで、すっごく楽しかったですよ、はい。

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