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時の勇者の伝説  作者: 雨音 陽香 編集:M
序章  『日の沈む国と時の勇者の立志』
12/28

番外編 1 『魔法について教えてくれ!』

 


「えっ?魔法について教えて欲しい、ですか?」


 その突然の発言に金髪の少女が驚いて振り向く。


「ああ、俺はこの前ウェスタに治癒魔法の回路を共有してもらって魔法が使えるようになっただろ?でも魔法について何も知らないんだ。だから1番詳しそうなウェスタに聞いてみようと思って」


 金髪の少女─ウェスタはその発言を聞くと嬉しそうな顔を一瞬だけすると手で顔を隠した。その後手を下ろし腕を組むと思春期が来た子供を持つ母親のような顔をして答えた。


「そうですか、そうですか…。とうとうその時が来てしまったのですね。では、教えてあげましょう!魔法という力…いえ、学問について!」


 そうしてウェスタの魔法講義が始まったのでした。


 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼


「それでは講義を始めましょう。まず始めは…属性についてにしましょうか。魔法の属性は無数にあるとされていますが基本は

 ・火属性

 ・風属性

 ・水属性

 ・土属性

 ・光属性

 ・闇属性の6つから成ります。

 これらは魔法の開祖である魔女キュレスによって生み出されたとされる魔法の基礎である六属性です。

 優秀な魔法使いは自ら新たな属性を作り出し、増やしたりすることもありますがどれも普通の人には使えぬものばかりだったためそれを作り出した人物とともに失われていってしまったものは数え切れないほどあると言われています」


「なるほど、例えばこの間ウェスタが使ったミラージュは光属性の魔法なのか?」


「はい、ですが少しだけ性質が違います。あれは光属性、風属性、水属性、火属性の複合魔法です。ドラゴンの姿は水魔法と火魔法を合わせて作りだした雲を、雲だとバレぬ為にその更に上から光魔法で照らして下側から見るとさもドラゴンが飛んでいるかのように見せました。そしてドラゴンの形を形成し翼をはためかせたのは風魔法によるものです」


「そんなに色んな魔法を掛け合わせられるのか…?」


「ええ、私は混交性の神位級魔法使いですからこれくらいは当然です」


「こんこうせい?しんいきゅう?なんの事だ?」


「ああ、すみません。これから説明しますね。まずは神位級─魔法使いの位についてです。魔法使いは使える魔法によって6つの階級に分けられます。下の階級から順番に

 ・下位級

 ・中位級

 ・上位級

 ──通常の魔術回路があればここまでは到達できる。──

 ・超位級

 ・神位級←ウェスタはここ

 ・絶位級となっています。なお、超位級以上は詠唱が必要になります。ミラージュもその一例です。そして先程の混交性─魔力の性質と呼ばれる魔法使いの魔力の質は大きくわけて3つ

 剛性、跳弾性、混交性に分けられます。それぞれ扱える魔法の色が違っています。剛性なら基本の六属性以外がほとんど使えない代わりにその威力は絶大です。跳弾性は通常物にぶつかったら役目を果たして消えてしまう魔力を任意のタイミングで解放することができます。しかも弾性を併せ持つのでその性質を利用して戦う人もいると聞きます。そして最後に混交性は他の2つに比べ魔法の威力は劣るものの魔法の応用に長けています。先日私が発動したミラージュは混交性以外の魔法使いにはおそらく扱えないと思います」


「そんなに沢山分けられると目が回りそうだ…」


「ふふ…、まあ頑張って覚えてくださいね」


「うぅ…。あ、ウェスタ、質問だ」


「はい、なんですか?」


「混交性は他の2つよりも魔法の威力が劣ると言っていたがウェスタは神位級魔法使い?だっただろ?なら神位級の魔法が使えるんじゃないのか?」


「おお、よく気が付きましたね。その通りです。私は混交性でありながら神位級魔法が使えるという珍しい人なんです」


「あまりいないというかウェスタだけなんじゃないか?」


「まあ…まだそういった人物には会ったことがないのでそういうことにしておきましょうか」


「ああ、もっと自信もっても誰も驕り高ぶっているなんて思わないから安心して自慢してくれ」


「そんな嫌らしい事しないですよ…もう。…まあ、ここまでが魔法の基本的な知識です。分かりましたか?」


「ああ、バッチリだ」


「では、次は魔法の源、魔力がなんなのかについて説明しましょう」


「準備は出来てる。いつでも来てくれ」


「ええ、では…。魔力とはすなわち精霊なのです。精霊はこの世界の大気中のどこにでも存在しています。私や他の魔法使いはその精霊を常に体の中の魔術回路に蓄えています。そしてそれを回路内で魔力へ変換し、魔法として放出するのです。役目を終えた魔力は精霊へ還元され再び大気中へ戻ります」


「ああ、この前の治癒魔法を使った時のあの感覚が…。ん?でもあの時はウェスタの体へ吸収されたよな?」


「あれはあなたが送り込んだ治癒の役割を持った魔力がそのまま私の魔力回路へ入り込んだのです。あの後私が魔法を使った時にその時の魔力は出ていったはずです」


「そういうものなのか。なあ、精霊ってのはどこから来るんだ?」


「精霊は過去に亡くなった人の魂の塊です。人は生きている間は魔法を使えない人でも体内の魔力回路に精霊を魂を宿しています。それがその宿主が亡くなった時外に出るのです」


「うーん、それだとそのうちこの世界は精霊で一杯になっちゃうんじゃないのか?」


「それが不思議なことにそうはならないんです。例えば私は普通の人間とは比べ物にならないほどの魔力を有していますよね?それは普通の人の何倍もの量の精霊を、何倍もの大きさの魂の器をもって産まれたからです。そしてこの世にはそのような人が過去に何人も、それはもう数えられないほど多くのそのような人がいたと予想されています。おそらくそういった人が人より多く蓄えているから一杯にはならないんだと思います」


「なら、その人たちが死んだらどうなる?その大量の精霊が出ていくんじゃないのか?」


「私たちが死んでこの世に残すのは普通の人と同じく1人分の魂のみです。まだその謎は解明されていないようです。何分(なにぶん)参考になるデータが少すぎるようです」


「んー、まあそこはいいか。良かった、勉強になったよ。ありがとうウェスタ」


「いえいえ、私もクロノに魔法について語れて楽しかったですしお互い様です」


「まあ、こんなこと聞いておいても俺には借り物の治癒魔法しか使えないんだけどな…」


「あら、そんなことありませんよ。いつの間にかヒョイっと帰ってくるかもしれませんし知識をつけることは悪いことでは無いですよ」


「まあ、それもそうだな。じゃあ俺はもう寝るよ、おやすみウェスタ」


「ええ、おやすみなさいクロノ」



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