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2 名は体を表すっていうけど呼び方は体を変えるよね

前回までのあらすじ 主人公、打津、異世界転移!!!

 打津石斗(だっつごくと)は困惑していた。

バイクで爆走していたせいでトラックにはねられ、死んだと思っていたところ、なぜか刑務所の前に戻され、看守も追ってこない。そして視界に入る”残機9”という文字。そしてそれ以外は何も変化がないという逆な意味での静けさ。どことこなく違和感を感じる。本当にここは自分がいた世界なのだろうか。じわじわと背筋を登ってくる恐怖を必死で抑え込もうとする。


「ま、まずはこのよくわからんものから考えてくか……」


打津は視界に映る文字について考えることにした。

 残機、というとあの赤い配管工が登場する、国民的人気ゲームにもあるあの残機なのだろうか?”×9”というからには9回死ねばゲームオーバーになるのか……ってゲームオーバーってなんだよ。

それとも別の何かが起こるのか。そもそも残機に何か別の意味があるのか。考えれば考えるほど訳が分からなくなっていく。そもそも考える材料が少なすぎる。とにかく周囲を探索した方がよさそうだと判断し、歩き出そうとしたところ─


「あれ?ダッツくん?君どうしてまだこんなところにいるの!?」


鬼気迫る声の方向を振り返ると、そこには知っている顔があった。スラリとしたスタイルのいい体躯。長い髪を肩のあたりで束ねている。そしてさっきまで追われていた看守と同じ服装をしている。更に言うならそのバストは豊満であった。


「えまさん?よかったぁ」

「よかったぁ……。じゃないでしょ!!せっかくここまで出られたのに何でこんなところでぼーっと突っ立てるのよ!」

「まっ、待ってくださいよ!」

「だ~か~ら~待ってる場合じゃないんだって!こちとら自分の人生かけてあなたの脱獄手伝ってるの!ここであなたが捕まったら、何の意味もないじゃないの!!」

「だ~か~ら~待ってくださいって!えまさんには残機が見えてないんですか!?」

「残機ぃ?いきなり何寝ぼけたことを言ってるの!?」

「ほら!視界の右隅に!!」

「視界の右隅……ってあれ?ナニコレ?」

「えぇ……。今気づいたんですか……。」

「だって今まで、あなたをここから逃がすために一生懸命でぇ……」

「とにかく何かが変なんですよ。話を聞いてもらってもいいですか?」

「はい……」


打津は、脱獄から今に至るまでの経緯を蝶気 えま(ちょうげ えま)に話した。トラックにはねられたこと。気づけばここに戻ってきたこと。そして空いていたはずの刑務所の門が閉まっていること。蝶気は信じられないという様子で聞いていた。


「つまりダッツ君は死んだと思ったのに、なぜか生きていてしかも追手もなぜか来ないと」

「まぁそんなところです」

「うーん。おかしいなぁ。確かにさっきまで警報が鳴っていたはずなんだけど」

「えまさんはさっきまで何をしていたんですか?」

「私?さっきまで門を操作していたわよ。急に静かになったから、気になって外に出てみると君がいて、振り返ると門が閉まってたってわけ」

「他に誰か操作したりとかは?」

「見てないわね。ついでに管制室にも連絡が取れなくなっているみたい」

「マジですか……」


ますますもって不思議である。まるでステージの仕掛けがリセットされたようだ。


「まぁ、なんにせよこれで私たちが動きやすくなったってことじゃない。残機だって別に関係ないや」

「そんな単純な把握でいいんですか……。」

「単純も何も私たちには、何においてもしなくちゃならないことがあるんじゃないの?」

「……はい」


彼女の言うように、俺たちには無実の証明をしなくてはならない理由がある。この世界についても追手がいなければ動きやすいし、”残機”だって現状ちらちらしてうっとおしいだけで、特に行動に支障はない。今の俺たちにとってはそんなこと程度なのだ。


「それに、ダッツ君。目的達成のために何を捨ててもかまわないっていうから、私は協力したんだからね」

「その言葉に嘘はありませんよ」


何を捨ててもかまわない。——もちろん自分の命さえも。すべてをかけると言ったから、彼女は協力してくれたのだ。


「それならよろしい。よーし。それじゃぁ始めましょうか!私たちの計画を」


蝶気は前に進み始める。


「あ、その前にえまさん」

「ん?なに?」

「俺の名前は”だっ↓つ”であって”だっ↑つ”ではないです」

「もぉ~いいじゃないのそんなの適当で!ダッツ君はダッツ君でしょ!」

「いや流石に名前なんでそこんところはちゃんと読んで欲しいんですけど!」

「でもダッツだよ?強そうじゃない?片手で大剣振り回せそうじゃない?」

「それだとバッドエンド直行じゃないっすか!」


 言い合いをしていると、不意にゴゴゴゴゴゴゴと音が聞こえる。


「ん?何この音は」

「ま、まさか」


 音のなる方を振り返ると、案の定閉まっていたはずの門が開き始めた。

「ちょ、いったいだれが操作しているの!?」

「やっぱり人がいたじゃないですか!」

「ホントにいなかったんだって!!」

「でも動いてるじゃないですか!」

「知るかぁぁぁぁぁ!!!」

 

 言い合っている間も、門は開いていく。打津と蝶気は、門の先に何があるのかを注視しながら身構えた。


女の子登場会ってことで。次はゲームシステムについて書こうかな。

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