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北
北を指す コンパスの針
二等星はいつ消えるのだろう
都会の光に殺されていく星々とあたし
ネオンは毒を帯びていく
夜に手を伸ばす
かたちのない虫たち
彗星に震える
風と露のかなえ
虫のさざめきと明滅
光線の比況
やさしいかなしみに心を預く
肩幅ていどの信託は
それなりでありがたいよ
いま
身の丈にあった感傷論
数センチの怒りをふれる
なにかの完全に遭いたい
ビニル袋を被って
谿より深い街を歩く
恍惚としていてさめざめしいよ
かわいさの奥に虚がある
くだらない愛情に巻き込まないで
どうせここから離れないから
せめて触れないで