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ワンダー
幸福論者にはなりたくないけど
だからって不幸を振りまきたくもないな
ちょうど真ん中くらい
どちらにも加担しない
フェアな人間でいたいんだ
きっと無理だけど
真夜中に あたしの魂が
ふっと抜けて 窓から飛び出ていく
雲へ向かって
月へ向かって
どんどん浮上していく
そしてふと見下ろした街は
平坦で のっぺらぼうで
あたしの身体だけが光り輝いている
なにもない場所に
なにを見出したらよいだろう
明度と彩度の違いくらいしか
見つからないのではなかろうか
小さく咳をする
だれもいない だれもいない
あたし以外にはだれもいない