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きみの住むまち
音漏れなんかに辟易するなよ
たぶんそれよりもっといい音が
きみのこころの中で
うるさく
鳴り響いているんだから
いまさら
泣いたってだめだよ
いまさら選んだってだめだ
いつも決めてバスに乗ってる
行きも帰りも
となりのひとの無感情が
いたく刺さっても
どこかへ向かわなきゃだめだ
手を挙げて
哀しいですと言い張る
首を傾げて
ごめんなさいと咲う
こころはここの内にある
薄弱な胸の内
心臓の皮膜のなかにある
かさぶたのように傷口を讃える
感覚の節目はちょうどいまだ
いまだけ きみのまちへ