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願い  作者: 大和
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大役(後編)

第4章「大役」(後編)


ーーー八上城ーーー


城兵 「いつまでこの状態が続くのか?我らに勝機は無いのでは・・・。」


波多野 「これまでの苦労,皆には誠に申し訳なく思い致す。だが,信長公(おやかたさま)の支配下に丹波を進攻させてはならん。かつては我らも信長公(おやかたさま)のもとその命に従っていたが,あのお方は時に非道なる一面を見せ.その姿は“鬼”である。“鬼”に世は統治できん。苦しいが,皆の者,最後まで戦ってくれ!!」


 勝手な仮説と想像を加えて,“波多野秀治”もかつては織田軍の配下にあり,信長公に従っていたのではないか,しかし,“天下布武”の為,犠牲をいとわない姿に疑問を抱き反旗を翻したのではと思っています。


私 (「信長公・・・。十兵衛様が仰っていた親方様とは・・・あの“織田信長”の事!?」)


 波多野(城主)の言葉に奮い立つ者もいましたが,やはり人間空腹には勝てません。

 餓死者の数が増え,日に日に衛生面も悪化していました。


 「歴史を変えてはいけない。」


 これは私が十兵衛様に出会い,戦国(かこ)に来た事を確信した時より心に誓っています。

 ここは戦国の世,彼ら1人1人にも人生(ドラマ)がありますが,後の世から来た私はこの先彼らがどうなるかを知っています。

 心の良心を捨て去り,反乱を起こす準備に移りました。

 空腹で極限状態の城兵達を根強く,しかし疑われぬように説得します。


私  「明智殿は,城主を渡せば我ら家臣達の命は保証し食糧も用意すると仰せである。城には家臣達(われら)だけでなくその家族,避難民も多くいる。これ以上の犠牲は無駄ではないのか!?」


城兵  「我が殿を裏切ることなど・・・。」


 空腹に耐えながら,さらに根強い説得が続きます。

 そんな時城から打って出た兵が明智軍に捕らわれ,その兵が旨そうに飯を食っている姿を目撃しました。

 また1人,1人と打って出た兵達は飯にありつけます。

 こうなっては食い物には勝てず,遂に裏切る者が現れました。

 城兵の中には明智軍に寝返る者が続出し,いよいよ反乱の時が訪れます。


城兵 「今宵,“秀治・秀尚”様を捕らえ,明智殿に引き渡す。その後は各々(おのおの)の生き方で決断する!!」


 “裏切り”と言われればそれまでですが,私は彼らを責める事ができません。

 上に従う者をきめた時,それに生きるも死ぬも裏切るも“戦国の世の生き方”かもしれないからですーーー。


 こうして私の長い夜(大役)が終わりを迎えました。

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