表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
願い  作者: 大和
31/31

本能寺の変 ~山崎の戦い 明智光秀公 最後~

エピローグ 「本能寺の変」 ~山崎の戦い 明智光秀公 最後~


 “本能寺の変”にて織田信長公 自害


 妙覚寺におられた信長公が嫡男“織田信忠”殿は報せを受け,愕然とされるも己がやるべき事を即座に判断されます。


 “明智光忠”殿率いる第二隊が本能寺に到達。


 明智軍第二隊は二条御所(二条城)に向かわれた“織田信忠”殿を討つべく進軍を続行。


 一方,二条御所にて親王一家を逃亡させ無き信長公の敵を取る為,明智軍と対峙すべく挙兵の準備にかかる“織田信忠”殿。


 まもなく第二隊は二条御所を踏襲。


 しかし挙兵間に合わず,勇猛果敢に戦われるも多勢に無勢,“織田信忠”殿,やむ無く自害。


 “本能寺の変”にて“織田信長”公を自害に追い込みんだ事で“明智光秀”公はいよいよ天下を掌握されます。


明智光満 「明智日向守光秀様(うえさま),おめでとうございます!信長公を討ち取り,此れよりは明智が天下を治める時!織田家を取りまとめ,幕府の復興と泰平の世を築くべく邁進致すのみ!」


明智家臣一同 「明智日向守光秀様,おめでとうございます!」


明智光秀 「(親方様,有り難うございました・・・)各々方!此度の戦,誠に大義,誠に見事であった!信長公を討った今,明智は次の時代の礎を築くべく邁進致す!各々方には最後の願い有り!してこの光秀に最後まで付き従ってもらいたい!然れど今は暫し休まれよ!」


明智家臣一同 「有り難き御言葉!おめでとうございます!」


明智重臣方 (「最後の願い・・・もしや・・・殿は・・・。」)



明智光秀  「書状を渡さねばならん故,使者に“備中”を通り毛利方のもとへと走らす。毛利方に御味方を願う為の大事な書状である。使者に決して書状の内容は明かすな,落命となる役目,使者にはすまぬが毛利方(羽柴殿)に書状を託さねばならん。(恐らくこれが最後の戦となろう・・・・。)」


明智重臣方 「(“備中”かやはり・・・。)承知,足軽兵を一人走らせましょう。名も無き兵の方が事を為せる。書状の内容は毛利方に御味方願う為,口外無用と伝え急ぎ使者を遣わし致します。」


明智光秀 「頼む!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

書状


 天正10年(1582年) 6月2日 未明


 本能寺にて謀反有り,“織田信長公”自害

 謀反人,桔梗紋,”明智惟任日向守光秀”

 “羽柴筑前守秀吉”殿,急ぎ京に参上致せ

 逆賊,“明智日向守”(金柑)を討たれ(召され)

 天下人(蜜柑)となるべし

 羽柴殿,天下統一を為されよ


                金柑

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 光秀公は毛利方に御味方を頼む為でなく,あえて書状が羽柴殿のもとに渡るよう仕向けておられたのです。


 その頃,羽柴殿は京よりの報せに胸騒ぎを感じ播磨国まで兵を戻しておられました。


羽柴軍家来 「申し上げます!先程,不穏な者を捉えた次第。口を割らぬ為,斬りかかった所,“毛利方に赴く・・・”と言葉を残し絶命。書状を懐に。」


羽柴秀吉  「書状・・・見せよ!」


 光秀公に遣わされた使者は命を落とし,書状は羽柴殿のもとへと渡ります。


羽柴秀吉  「これは・・・。親方様が討たれた・・・(親方様・・・(涙),明智殿・・・(涙)真面目な御方よ)。」


羽柴軍家来 「殿,何と申された!?」


羽柴秀吉  「“金柑”は木に実を宿し,時を待って成熟致す。その実は甘酸っぱく誠に美味である。然れど,成熟致せば後は腐るのみ。“金柑”は誰かに喰われて意味を為す。」


羽柴軍家来 「!?」


羽柴秀吉 「明智殿の御言葉・・・。(明智殿,蜜柑も又いずれは腐りますぞ・・・。)(涙)」


羽柴軍家来 「如何なされた!?」


羽柴秀吉  「皆の者!此れよりは私語を禁ず!急ぎ京にとって帰す!急げ!遅れをとるな!」」


羽柴軍家来  「!?承知!!」


 羽柴軍の“中国大返し”は凄まじく,僅か10日程で200キロを走破。


 羽柴軍,遂に摂津国まで戻りその報せは光秀公のもとに届きます。



明智家臣 「も,申し上げます!羽柴筑前守殿,摂津国まで兵を戻した御様子!明智家(われら)を討つべく進軍している模様,如何なされますか!?」


明智光秀 「(羽柴殿,素早き御到着,流石!)あいわかった!兵を集めい!此れより明智軍(われら)も出陣致す。羽柴殿を迎え撃つぞ!」


明智家臣 「承知!」


明智光秀 「各々方!光秀最後の願い聞き入れよ!まもなくの羽柴殿との戦,明智の名を後世に残すべく存分に戦われたし!」


明智家臣一同 「オォッーーーッ!!」


 後に“山城の戦い”と呼ばれるこの戦,光秀公はあえて味方を募らず明智軍のみで挑まれます。


 対する羽柴軍は謀反人討伐の大義を掲げ味方を増員。


 光秀公は自らは天下人の器に無い事を悟り,信長公の武力統一に歯止めをかけた後,この戦に負け全てを終わらせ,後の世を羽柴筑前守殿に託すおつもりでした。


 やがて光秀公率いる明智軍出陣,摂津国目指し進軍,山城国を越えようとしています・・・。


 “本能寺の変”より11日後

 天正10年(1582年) 6月13日 山崎の地


 明智光秀公率いる明智軍と羽柴秀吉殿率いる羽柴軍は摂津国と山城国の境,山崎の地にて激突。



羽柴秀吉 「謀反人!“明智日向守光秀”殿!貴殿を討つべく参った!覚悟されたし!・・・(明智殿・・・(涙)。」


明智光秀 「羽柴殿!天晴れ見事な大返し!よう参られた!涙は無用ぞ!明智日向守光秀が最後の戦,特と御覧あれ!」


羽柴秀吉 「佐吉(石田三成)!よく見ておけ!明智光秀という武将の生きざまを!」

 

佐吉  「御意!あれが“明智惟任日向守光秀”様,その御姿は聡明!誠,見事な武将なり!」


 『順逆二門に無し 大道心源に徹す 五十五年の夢覚め来れば 一元に帰す』

 

 “明智光秀”公 享年55歳  

                終わり

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 誤字,脱字,文章力,明らかな内容の間違いななど御意見多数あるかと思いますが,ここまで御閲覧頂き誠に有り難うございます。

 

 信長公を御館(御屋形)様とせず,現代でも使われる親方と称したのは,信長公は一見すると横暴な性格から家臣に恐れられ我が道を行く人であるが,時に町民達と戯れて人の心を聞き入れ,優れた統率力に名家にとらわれず実力ある者を採用する人を見抜く力,常に先を見て生きていた姿は一国の主にとらわれずやはり天下人に相応(ふさわ)しく思え,憧れる部分と固い表現より親しみを持つ意味で親方様とさせて頂きました。


 “明智光秀”公を題材とし書いてきましたが,彼が何故,謀反を起こしたのかを上手く描けずに申し訳ありません。

 

 失態への度重なる尋常な叱責,立場を追われた苦しみ,主従の関係に悩み今こそは好機と捉えた瞬間。本能寺では実は“徳川家康”公を暗殺する目的があり事態を知った家康が光秀と共謀しそこに秀吉も絡んでいた。あるいは畿内が手薄になった此度,天下を取らんとする信長公の存在が恐ろしく,信長公を討ちその後は光秀の後ろ楯となるつもりでいた朝廷の裏切り等の様々な説があるようです。いずれにせよその動機は本人にしかわからず,そこは結論付けるのではなく,あえて謎のままであるからこそ私達に様々な想像を膨らませてくれるのではないでしょうか。  


 又,“本能寺の変”の約一年前には信長公を慕う家訓などを自身の明智家に認めるなどやはり信長公を主君として尊敬していた光秀の真面目さがわかり,


 ホトトギスで性格を示した有名な歌があります


 織田信長公 『鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス』

 

 豊臣秀吉公 『鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス』


 徳川家康公 『鳴かぬなら 鳴くまでまとう ホトトギス』


 明智光秀公 『鳴かぬなら 私が泣こう ホトトギス』

       『鳴かぬなら 放してしまえ ホトトギス』


 歌の諸説はわかりませんが,この句からは明智光秀公の優しい人物像が伺えます。


 現代を生きる我々は,様々な娯楽,仕事,食事などから次第に希薄となった人付き合い。最低限の繋がりをもてば人との繋がりを求めずとも生きていけます。 

 しかし常に命の張り合いを求められた戦国時代は家族を初め,主君や家臣,村人など生きる為に皆が繋がりを持つ事を大事にされたと思います。


 そんな時代を生きた“明智光秀”公もきっと人との繋がりを大事にされ,人故に喜び,怒り,哀しみ,笑うの喜怒哀楽と人としての強さもあれば弱さもあり,戦で荒れ狂う世を終わらせようと,信長公とは違うやり方で泰平の世を望まれていたのではないでしょうか。


 逆賊というイメージの強い“明智光秀”公ですが私は後世に名を残した立派な武将であると思います。


 御精読有り難うございました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ