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フラグ回避って難しくねーか!?  作者: 乙坂キルハ
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第2話 フラグとヒロイン登場

 俺は今見慣れない街並みを全力疾走している。

 暗闇に包まれているせいでどこに行けば検討もつかない。

 とりあえずは後ろから追いかけてきているガチムチ野郎を撒かなければならない。


「はぁ…はぁ…キツすぎる……!」


 現実世界では帰宅部のエースとして名を馳せていた俺にとって運動なんてどこ吹く風状態だ。

 スポーツ?何それおいしいの?みたいな。


 やばい、追いつかれる!

 こんなことならもっと運動しておけば良かった。

 なんかよくあるような後悔をしながらも淡い期待をせずにはいられない。


「こういう時ってさ"こっちだよ!"とか言って誰かが助けに来てくれるもんなんじゃ……」


 ピコンッ!!


「こっちだよ!」


 !!?


 唐突に路地裏から女の子の声がした。

 何だ?ほんとに救世主でも現れたってのか!?

 それにさっきの通知音…まさか……。

 今は悠長に考えている暇はないので声のする方に近づいてみる。


 すると彼女はなんの説明もなく俺の手を握り走り出した。

 おっ!今度こそヒロイン遭遇イベントだろ!

 彼女の手のひらの柔らかな感触にニヤけながら呑気なことを考えていた。

 こんな状況だが女子と手を繋げていることに喜びがこみ上げてくる。

 だてに童貞こじらせていない。


 ふと彼女の頭の上に紫色のフラッグが立っていることに気づく。

 やっぱりあの通知音とこの旗には関係があるらしい。


 謎の音と旗との関係性について一歩前進だ!と思っていると、旗にまた文字が書いてあるのが見えた。

 その文字はさっきの子のものとは違う。

 その旗にははっきりと"欺"と書いてあった。


 ……騙された。


「さて、話を聞かせてもらおうかね」


 ガチムチ警官がものすごい形相で俺の顔を覗いてくる。

 正直怖い。おしっこチビりそう。

 あの後俺は彼女に手を引っ張られ、されるがままに走っていたのだが気づいた時には遅かった。


 辿りついた先はこっちの世界での交番だった。


「ご協力ありがとうございます!」

「いえいえ、私は当然の事をしたまでですよ!」

「お礼と言ってはなんですが…」


 そう言うと警官は女に対して巾着袋のようなものを渡した。

 チャリチャリ音がする。

 おそらく金だろう。

 くそ!女の目的は最初からそれだったってわけか。


 なんだかんだ言ってこいつも無駄に可愛い。

 無駄にというかむしろめちゃくちゃ可愛いからなんだか憎めない。

 さっきの美少女ランキングを軽く更新したわ。

 勘違いすんなよ?

 別に俺は軽い男じゃないからな?

 案外一途なんだからな!?


 意味のないの自己弁護をしながらも、現実世界では美少女成分が足りていなかった俺にとって、美少女に貶められるのも案外悪くないのかもしれないと思ったりする。

 異世界に美少女が多いという設定は嘘じゃなかったようだ。


 女の顔をまじまじと見ていると目が合った。

 美少女に見つめられる事なんて無かったからちょっと恥ずかしい気分になる。

 すると彼女はごめんね〜♡と言わんばかりに舌をペロッとだした。

 ふざけんな!と叫んでやりたかったが、まあどうせまた会うこともないだろうしいいかと思った。

 ……可愛かったし。


 警官との会話も一通り終わり彼女が取調室から出ていこうとした際に一言。


「じゃあまたね…!」


 ピコンッ!

 俺はもうこりごりだったが、"再"と書かれた白いフラグが彼女の頭に立っているのが見えてしまった。


 再会フラグだとでもいうのだろうか?

 そんな考察をしていると


「さあじっくり話を聞かせてもらおうじゃないか」


 すっかり存在を忘れていた警官の言葉で現実に引き戻された。

 今からされる事を思うとため息しか出ない。

 野郎2人で取り調べとか誰得だよ。


 大声で威圧してくる警官の言葉を聞き流しつつ、俺をこんな状況に追いやった元凶の事を思い出す。

 可愛かったな……

 もう1回くらい会えるなら会いたいな…

 そう思いながらさっきのフラグに望みをかける。


 最低で最悪な始まりだったがこれが俺、色島悠旗とアリスとの()()()だった。

 偶然にも等しいこの2人の出会いがこの先の物語で大きな意味を持つ事になるとはまだ誰も知らない。


「おい!話を聞いてんのか!?」


 今はそんな事よりこの状況をどうにかせねば。

 この世界での親はもちろん戸籍もない俺にとっては少しの疑いが命取りになる。

 見た目も少し違うようだしな。


 でもこのまま黙っている訳には行かない。

 俺は何もしていないと証明しないと。

 自慢じゃないが俺は口だけは達者だからな


 この程度の相手軽く論破してやろう!

 そう意気込むと大きく息を吸いこみ宣言した。


「俺は無実だ!!!」


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