天の眼(3)
*
既にエグトの家とは縁を切っている。裏という称号を代々王族より与えられるエグト家は、守護騎士となる子孫が一族と縁を切る事が慣わしとなっていた。
縁を切ったエグトもまた、新たに血を繋ぎ子孫を残すが婚姻相手と子孫と縁を切る事になる。エスクランザ国で裏と呼ばれる称号は、最高の誉れと穢れをその身に受けるが、いつそれが罪科となるか分からない。それは諸刃のものであるために、一族に穢れを移さないように、罪科を与えないように縁を切るのだ。
ーー[その身は、物である]
幼い頃から祖母に厳しく躾けられ、周囲に男の親族は殆ど居なかった。物心ついた頃、王族を沿道で拝礼するために、母親に連れられて王都の広場にやって来た。そこで深く頭を下げて石一つない道を見つめていると、不意に母親がトラーの衣の端を引いた。
[?]
母親は喜怒哀楽の薄い人で、厳しい祖母と同じ様に礼儀作法には手を抜かない性格だ。商人や分別の無い子供のように沿道から王族に歓声や呼び掛ける事は無作法だと、拝礼中は口を一切開くなと、常日頃トラーは言い付けられていた。だがその母親が、王族と守護騎士や巫女神官が目の前を通過する最中に、トラーに小声で呼び掛けた。
[右端の先頭の方、あの方が父上です]
[!!]
転写石も絵姿も無い。初めて見る縁が切れた父親の姿を、幼いトラーはおそるおそる覗き見る。
ーー[・・・・・・・・、]
外敵から皇王を護る斜め前、顔の半分以上は口当て布で覆われていたが、すらりと伸びた背筋、神官服に身を包み、凛々しく長剣を帯剣する姿をトラーは瞳に焼き付けた。
年月を経て神官学舎に通い始めると、表と呼ばれる称号を受け継ぐ者たちとも共に学ぶことになった。そこでトラーは、同じく穢れとされる神官騎士を目指すはずの子供たちが、一族と縁を切らずに過ごして居ることを初めて知った。
トラーと同じ立場の裏の一族の子供たちは、表の存在に納得がいかずに派閥は出来上がる。そしてそれは、大人になっても延々と続くのだ。
血の穢れが受けにくい天弓騎士を主体とする表より、近接護衛として剣を主とし返り血を受ける神官騎士が主体の裏の方が、より穢れを受け死の危険と隣り合わせになる。それ故に、裏の者の方が優秀な者が多いのも事実なのだ。そして幼少期から王族の〔物〕だと教育されてきた裏の者たちにとって、〔物〕になりきれない者が多い表の者たちは、軟弱な格下だと蔑みの対象にもなった。
更に年月を経て、縁が切れた父親の様に裏の一桁に選ばれたトラーの前に、不思議な小さな少女が現れた。
[天上の巫女候補か]
王族よりも下々の無作法が身に付いている少女に、王宮殿に勤める者たちは内心で訝しむ。独りで天から降りてきたとされる少女を希なる天上人だと崇めているが、どこか皆、半信半疑でそれを見ていた。
口では天上人だと崇めているが、大神官であるインクラートがガーランドから強奪してきた少女を、どう自分の派閥に利用できるかを計算しているのだ。そして皇子との婚姻を計画する巫女達は陰口を言って少女を傷付ける計画を立て、地の下の前で苛め、貶し遠ざけようとしていた。
トラーは、それに特に手を出すことはなく[物]として眺めていたのだが、天上人は、裏の騎士であるトラー達でさえ理解できない行動を、次々に披露し始めた。
**
[・・・・?]
睦言や喘ぎ声が聞こえない静かな湯殿。脱衣の間の続き廊下で警護に控え、刻が来れば女官と交代して移動するのだが、アリアの話し声のみの静かな湯殿から響いた水音。いつもと違う湯殿を疑問に耳をすませていると、突然声かけも無く引き戸がカラリと開いた。
[!!]
漏れ出る湯気により真白い身体は包まれていたが、守護に控えていた裏の全員は為す術無く身を硬直させる。
『*ォイテク*サイ』
[!?]
直接、少女は裏の自分たちに声を掛けた。何を言っているかは聞き取れないが、目を伏せ素早く後退した守護達の間を、軽い足音はヒタヒタと過ぎ去って行った。
[・・・・・・・・]
もちろんこの場の出来事を口に出す守護者は誰一人居なかったが、この出来事により、控えていた上位の守護者達の中で、少女への見方が明らかに変化していった。
**
『オンニチワ』
目が合うと下々のように頭を下げるのだが、穢れた地の下を忌避の目で見ず、愛想笑いににこりと笑う。
(『オン・イチワ』、天上国ニホンの、通常挨拶の言葉。・・・挨拶、)
トラーの書き記した手帳、メイ・カミナの巫女の言葉の端々より、天上言葉を纏めた経典はニホンの巻を使用した。それは神官の間で複写され、裏の者たちも各自携帯している。
[我々が物になりきれない故に、巫女様がお声掛けされてしまうと悩みましたが、あの方は、そこに置いてある壷にも話し掛けていました。なので、我々は物だと認識されているのでしょうか?]
ーー『ゥン、イッパナツポダネ。ァカソウ』
廊下に飾られた大きな飾り壷。それに頷き呟いた。一部始終を悉に観察していたトラーの部下セスサは、巫女の少女の自分たちへの声掛けに悩んでいたらしい。
[深く考える事はない。あの方は天上人。我々と同じお考えではないのだ]
[は、]
**
全てに〔物〕として対応し、心を動かされる事はなく、粛々と命令に従いその場に立つ。
定められたものは次代の王の護衛騎士としての地位だった。それが天上人が登場し、更に浴場殿での失態の後に、その少女を護る位置を与えられる。トラーは、これにアリアの作為を感じ取っていた。おそらく第二皇子アリアは、異質な天上人にトラーや裏の者たちが翻弄される姿が見たいのだろうと、そう考える。
(そして我らが巫女様に粗相をすれば、それを理由に、守護の命を弄ぼうとしている)
第二皇子の性根の悪さをよく知るトラーは、彼の対応策も熟知していた。アリアが最もつまらないと思う反応は、トラーが〔物〕として得意とする無反応な服従と従属。
だがそれを、天上人は許しはしなかった。
不穏にもファルド軍の密使が第一皇子の元を訪れた日、トラーの守護対象は、宮中で大声を上げて走り出した。その奇異な行動を直ぐさま止めに入ったが、様子を聞きに来た表の者と話をしていると、とんとんと、温かいものが肘裏に当たる。
『フィマセ・*キタインテッカ・*マ・イーイェスカ?』
[[!?]]
驚愕に身を引いた。周囲の者たちと同じ様に、道を遮る自分を物として邪魔だと無言で睨み付けていた少女が、声掛けに触れてくるなど想像すら出来なかった。
『・・・・・・・・』
[・・・・・・・・]
希なる少女に穢れが移る恐怖と、粛清の隙をアリアに与えてしまった現実。だが何故か、その場でトラーを強く捉えたものは、腕を引いて飛び下がった瞬間の、悲しげな少女の顔だった。
**
[やはりお前の反応は、いちいちつまらないね]
天上人に触れた事で、粛清されるために呼び出された審議の間。だがそこで、トラーはエスクランザ天王国の守護騎士の中で、最上位の称号を与えられた。アリアより手渡された物は二振りの中刀。その柄には、端が裂けた八枚の花弁が重なる紋章が飾られている。
[表の者より、より巫女様の傍で御身を護り、敵の血をその身に受けよ]
[はっ!]
父親の称号は、現皇王に裏で仕える第一位。だがその称号を超える特位零を与えられた。そしてトラーが生涯仕える主は、自分を〔物〕だと認めない、天上人の小さな少女になった。
**
[天上の巫女様、私はトラー・エグト。貴方の守護となった、神官騎士の位階零です]
『・・・・・・・・やえざくら?』
[これより、昼夜を問わず御身をお守り致します]
正式に守護として仕えると少女に挨拶をした日に、きょとんと自分を見つめるつり目の黒目は笑顔に弧をかいた。
「『ヤエサクラ』、知っています。私は。『サクラ』は、私の国では、美しいお花。『フィンクノ、エート』、美しい、とてもとても、美しいお花。良い名前、」
暇つぶしに与えられていた筆と色紙。その一枚の桃色の用紙に、小さな白い手は絵を描いた。
「好き。このお花は、とても好きです。私は」
[!!]
だが天上の巫女は、嬉しそうに笑った後に「ここにはありません」と呟いて窓の外を見た。そして何故か、地に咲く花を探すために空を見上げる。
(やはり経典にあるように、巫女様は常に空を見上げている)
エスクランザの本院殿に収められた天上人の記録には、歴代の天上人の行動として、常に天を見上げ天を望むと記されている。独りで天を眺めては、昼日中には現れない青い星を探し、夜になると、自らの手で窓を開いてでも青い星に祈りを捧げる。少女の行動を悉に見つめるトラーには、少女の思いがこの地には無い事を想像させた。
(天に咲く、花の名前)
巫女が描いた五枚の花弁の小さな花。トラーの手にした中刀の、花弁と同じく端が裂けて割れていた。花としては縁起が悪いと内心では思っていたのだが、少女が桃色の用紙に描いた花弁足らずのものを見て、その日からトラーの考えは変わった。
**
「『ますく』トラー愛する」
その後も他国に同行し、物になり主の巫女を護っていたが、その道中でも様々な主の不可解な行動に、トラーは部下のセスサの困惑を思い出していた。
「とてもとても愛する」
常日頃、トラーよりも無表情で堅物だと思っていた部下が、天上人の守護に数日ついた後に、なんとも言えない困惑した表情で質問をしてきた。問われたその刻よりも、今は彼の気持ちがよく分かる。
[・・・・み、巫女様、あの、これは、]
各国の騎士や兵士が周囲に居る中で、自分を愛すると公言した主の冗談に、身を凍らせたトラーには為す術は無かった。
その後も自国の文化に慣れない主に、いくら物として接してくれと忠言しても通じない。その中トラーは、感情表現が得意そうではない主の顔に、哀楽の表情は隠しきれずに零れ出ている事に気が付いた。
いつしかトラーは、喜びと怒りの表情も、少女の全ての感情を理解したいと、そう思うようになった。
**
「スアハとアピー!塀を登るなよ!巫女様!走ると危ないですよ!」
獣人の子供たちとじゃれ合い中庭に走り出た少女を見て、トラーは穏やかな空気に微笑んだ。城壁の外側は激しい内乱に街は依然荒れている。本来ならば、皇族よりも宮殿で護られるべき小さな天上の少女。しかしオルディオールという英霊を身に宿したことにより、国を跨いで戦場に飛び込む運命に曝されている。
(ファルド帝国英霊、オルディオール・ランダ・エールダー殿は、我が国の精霊と、同じ位置付けでよいのだろうか?)
ーー「トラー、確認しておく。今後のオーラ戦、戦場域では、俺の攻撃範囲に踏み込むな」
ーー「巫女様のお身体で、戦うのですか?」
ーー「もちろんだ。あと通常護衛に関してだが、ここはエスクランザ国では無い。前にも言ったと思うが、俺がこいつを保護している状態では、近接護衛は必要ない」
ーー「お断りいたします」
ーー「まあ待て、最後まで聞いてくれ。エスクランザの風俗習慣に関しては、噂話や書物で読んだ程度だが、近接護衛という、朝から晩、寝室から厠、浴場まで付いてくる、あれは、正直こいつ、メイにとっても、あまり良くはない」
ーー「巫女様にとっても?」
ーー「信じられない間抜けな攫われ方をして、お前の守備位置が強化された事は理解できるが、こいつはまだ、精神的にも成熟していない未熟者、成長期の子供なんだ」
ーー「十九歳だと、ご本人は宣言されています」
ーー「そこだ。信じられないだろう?おそらく天上では、十九は成長過程の、保護される子供なんだ」
ーー[・・・・・・・・・・・・・・・・]
ーー「過剰な過干渉は、子供にとっては善くない教育方法だ。自立出来ない、駄目な大人になるだろう。だがお前の職責も理解できる。なので、ほんの少し、視界から外れる警護をしてくれ」
ーー[・・・・・・・・]
ーー「子供には、自由な刻が必要だ」
ーー[・・・・・・・・]
天上のものを崇拝する北方の神官騎士は、巫女に宿った英霊に対して複雑な思いを燻らせていた。そして現れたもう一人の男は、トラーの心に払えない澱を落としていった。
〈お前の愛を、受け取った〉
仕える主に向けられたおかしな意味の言葉に、何故かそれを言った褐色の肌の男に殺意が湧いた。
**
「・・・確かに、陸路でオーラ領に行くよりは、トライドから飛竜で飛んだ方が楽ではあるが、だが俺は皇帝陛下より第一師団の指揮下に入れと言われている」
「オルディオール殿、巫女様はファルド国の象徴では無いのです。天上人は我が国の天樹の使い。そして巫女様のトライド行きは選択肢ではありません。決定です」
「・・・オゥストロとエスクランザ皇太子の意向か?」
「貴男はファルド帝国の英霊殿ですが、巫女様は、天上の方の顕現なのです。ファルド帝国の悪しき誓約により、貴男は巫女様を束縛していますが、本来はこの方の意思こそが最優先なのです」
「束縛、ねえ・・・」
「私は必ず巫女様をお守りします。この地の、オーラ家の者に、これ以上巫女様を触れさせません」
「クレイオル・オーラの事か、何故やつが、メイと関わり合うのかは分からんが、それは俺も気にしておく。だがそれとトライド行きは別の話だ」
「・・・オゥストロ殿や南方の方達が巫女様をめぐり決闘するとの話がありましたが、巫女様は我がエスクランザ天王国の象徴。必ず私が我が国へ連れ帰ります」
「はは、まるでお前が決闘するみたいな言い方だな?」
「はい。私が皇子の代わりに、皆様との決闘に参加致します」
「へ・・・・?」
「全てはオーラ家の掃討が済めばの事です。さあ、箱車の準備が整いました。ファルド王とヴァルヴォアール将軍には、こちらから報告しておきます。お乗り下さい」
更に何か言おうとした英霊の、言葉を無視して押し通す。純粋な精霊では無い英霊、そして敵となったオーラ家の男の言葉に、徐々に徐々に、心に重たく黒い澱が降り積もる。それを知ってか知らずか、皇太子アリアはトラーの物としての心を破壊する言葉を投げかけた。
[白兎は、先代の天上の巫女様に恋して国を追われた、地の下の神官の一人だ]
[・・・!!、恋など、私は、巫女様にそのような、不敬な気持ちは、]
[そうだね。お前はメイ様へそのような気持ちは持ち合わせる事は出来ない。先代の巫女様は、白兎と思い合っていたからこそ、彼はエスクランザ国を追われたんだ]
[はい・・・]
[お前は、エトゥの巫女になるなよ]
[・・・・]
[エトゥの叶わなかった恋。それがこの地に歪んだ誓約を広めさせたと、僕は考えているよ]
[!?]
[恋し愛する者と、生涯を共に誓い合う。我が国では神聖な思いの誓いが、この東のファルドでは違えた者を死で別つ呪いとなっている]
[エトゥの巫女は、オーラ公領で高位の祭司となったとファルド国の天教院の者達は言っております。人を導く最高神官が、そのような呪い事を広めるものでしょうか?]
[・・・さあ、そんな面倒事は僕には分からないけど、人を思う情念というものは、全てに良い作用とならないからね。特に誰かを強く恋しいと思う気持ちは、周りも自分も見失うみたいだし。叶わないものであるのなら陰鬱と魂が滞るのではないの?、王宮殿の多くの巫女達は、僕に構われないからって、寝所に上げた巫女を影で虐げて発散したりしてたよね]
いま目の前で、愚かな巫女達が主を貶める言葉を口にすれば、それを速やかに排除するだろう。
[エトゥの巫女は、天上の巫女様に恋する白兎に異国の地でも叶わない恋をし続けて、思いの誓いをねじ曲げた誓約で憂さ晴らししたのではないの?]
異国の地でも、叶わない魂乞。
[この東の者達が、親しい者や愛する者と、死で引き裂かれるようにね]
親しい者や、愛する者と、引き裂かれる地の下。
[トラー、]
[はっ、]
[お前は、エトゥの後を追うなよ。天上の者はお前の主だ。彼女の魂には、決して触れるな。お前自身も、その身は血で穢れていることを忘れるな]
[・・・・]
〔恋〕などという、人を想う気持ちを持ったことが無いと、それを考えた事も無かったトラーが、アリアに突きつけられ自覚した。婚姻しても妻は子孫を残すためにある、いずれは縁が切れるもの。縁が切れたはずの母親がなぜ、彼が自分の父親だと涙目に微笑んだ意味が、今ようやく分かった気がした。
*
(私が物としての役割をおろそかにした所為で、巫女様が攫われた。そして、犯人は、あいつ、)
黒髪に褐色の肌の男。転写絵で見たクレイオルの姿を思い浮かべると、再び足跡の方角に馬犬を全力で走らせた。昼夜を問わず駆け抜けて、足が潰れそうになった馬犬を乗り捨て商人の馬犬を強奪する。だがファルド帝国から東へ半分を過ぎた頃の村から、クレイオルの目撃情報に誤差が生じ始めた。
住民の証言が二転三転し、全く外部からの来訪者の無い小さな山村へ導かれて刻を費やす。苛立ったが、明らかに偽証した露店商に剣を突きつけると、高級な魔石の代わりに偽証を頼まれたと白状した。
(クレイオル・オーラ、)
小賢しい真似をしたクレイオルに心を乱されるが、費やした刻を取り戻す為に馬犬を走らせる。心には、抜けない棘が突き刺さったまま。トラーは古の巫女エトゥよりも、深く重たい穢れでクレイオルを引き裂きたいと考えた。そして鞭を打たれ、悲鳴を上げる馬犬を休ませることなく、それを見ても何も思うところは無いが、ある自覚はあった。
(天の眼は、地の下の私を存分に裁けばよいのだ)
神官騎士であるトラーが、主の足跡を追うために信者を脅し暴行したことは、後世まで語り継がれる罪である。その事を理解しながらもやはり何も感じないトラーだが、潮風に自分が海岸沿いを走っていたのだと気がついた。
夜通し駆け抜けた海岸沿いの黒い海。波の音と馬犬の足音だけが響く道のりで、先の見えない黒の向こう側に、故郷より更に西側の、とある話を思い出す。エスクランザの子供たちが、悪いことをしないように、躾のために聞かされるお伽話。
ーー天の眼が、お前の生き方を、見ているよ。
遥か昔の天の眼は、今で言う人々の監視の眼では無く、天に浮かぶ島から、地上を観察していたという偽典。お伽話や怖い話、子供や民草に伝わる偽典を、何故か今、思い出して空を見た。しかし青い星は雲に隠されて、海を映した暗闇だけが一面に広がっていた。




