表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界人観察記録  作者: wawa
ファルド帝国東ファルド天教院本院~
42/61

天上の巫女(5)(その場の追記)



***


ーーーグルディ・オーサ戦場域上空。

  


 シーーーーン。


 ザワ? 


 〈なんだあいつ、今、隊長の黒長鼠カラテテのこと、ファミアって言わなかった?ファミアって、東側の婚姻者のことですよね?〉


 〈聞こえた。間違いない〉


 〈センディオラ分隊長、やはりファルドのヴァルヴォアールは、ここで片付けておきましょう。目障りです〉

 ーーシャリン。


 〈同意だが、この場はオゥストロ隊長が絶対だ〉 


 〈妻ですよ?あの黒長鼠カラテテを、あの男は自分の妻だと言ったのですよ!?〉


 〈・・・・・・・・〉ギリ。


 〈やっぱり奴はイカレテル。あんな小さな子供を妻などと、変態野郎め〉


 〈エミュス、故意に自軍の上官を貶すことはやめろ。軍法会議にかけるぞ〉


 〈分隊長、僕は敵軍の将を非難したのです。我らがオゥストロ隊長は、婚約者だとしか宣言していません。あんな子供を妻だと宣言した変態野郎だと、そこまではっきりオゥストロ隊長に負の意見を述べてはいません〉


 〈ギャギャギャ?〉

 バサバサ、バサバサ。


 〈ギャギャギャ・・・〉

 バサバサ、バサバサ・・・。



 〈〈・・・・・・・・〉〉




***


ーーーグルディ・オーサ戦場域地上。


 


 「団長ゼレイスファミアって言ったぞ」


 「言いましたね。婚約者ではなく、ファミアだと黒竜将に宣言しました」


 「確かに、ガーランドの者達を前に、巫女姫ミスメアリは我が軍のものだと宣言することは必要だ」


 「はい。先ほどの我々の進言が役に立ちました。団長ゼレイスから、あの少女への熱意を感じます」


 「それだ。」


 「?、なんですか?」


 「なんだろうか、その熱意、ガーランドに対し、この場で宣言してしまったことに、違和感が生じる」


 「エンゲイウス殿、歯切れが悪いですね」


 「ファミアだとの宣言は、必要なのだろうか。我が軍の巫女姫ミスメアリで、よくはないか?」


 「なんですか?先ほどの、彼女に従うと言った言葉は偽りですか?我々は、天上エ・ローハ巫女姫ミスメアリを支持すると決めたのです」


 「その気持ちに偽りは無いのだが、」


 「はっきりと仰って下さい。我が国の統轄騎士団長セルディア・ゼレイス、自分の上官が、敵対国ガーランドの竜騎士を前に、あの少女をファミアだと宣言したことが恥ずかしいのだと」



 「・・・・・・・・・・・・・・・・」



 「無言は肯定ですね。エンゲイウス殿、大丈夫です。この場の半数以上が、おそらく同じ不透明な感情に囚われているでしょう」


 「・・・・・・・」


 「ですがご安心下さい。我が国内では、既に団長があの少女に懸想しているというあること無いことを、既成事実として国民は証言してくれるでしょう。この勝負、我が軍の勝利です。勝てばなんでも良いのです。勝者こそ正義。巫女姫ミスメアリが見た目に子供だとしても、勝者が大人だと言えば、それが真実になるのです」ニコリ!



 「・・・・・・・・・・・・・・・・」





 とある国境線の、勝利を譲れない一戦。だがこの場での不透明な落着は、様々な人々にもやもやと禍根を残す事になる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ