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異世界人観察記録  作者: wawa
ガーランド国境線グルディ・オーサ領~
30/61

上官の婚約者の成長記録(2)(主人公発生)



 ーーたたたたたたたた。


 

 「何ですか?お店ですか?」


 「そうです。護符石を買いましたよ」 

 

 にこり、「こんにちは、お嬢さん。この辺じゃ珍しいですね、北方セウスから来たのですか?」


 にこり!「こんにちは。はい、北方セウスエスクランザに行きました。これからは、ファルドの教会シンシャーに、行ってきます」


 「?、まあ、ご苦労さまです。お勤めなのですね」


 「ごふせきって、何ですか?」


 「この石は、教会シンシャーの魔石とは異なり、魔素アルケウスに作用する危険なものでは無いですよ。奇麗でしょう?」


 (路上天然石ブレスレット売りだ。・・・そうだ)、

 『姉さん、これと物物交換したい。出来ますか?』


 〈ん?なん、っゴホンッ!〉、

 「どうしましたか?巫女様シスト

 ゴホゴホ、キョロキョロ。

 

 『これとこれ、交換・・・』、

 「これを希望します。アラフィアさん、お願いします」

 コビコビ。


 〈・・・・・・・?〉

 

 「交換? 」


 「美しい腕輪をお持ちですね?北方セウス製でしょうか?」


 ーーサッ!

 『外せます?』、

 「この腕を、取って下さい。お願いします、あなたに。だから、こちらの腕輪を下さい。白色」

 

 〈〈??〉〉


 「な、なんですか?こんな高価そうな物、巫女シストのお嬢さんからは、受け取れません、」


 〈・・・・・・・・〉


 『お願いします、お願いします。とってえー、これを』


 「巫女様シスト、わがままを言ってはいけません。行きますよ」ジロリ!


 「あーげーまーすー、あげます。とってえー」、

 『売ればきっとお金になります。アリア痴漢は仮にも皇子。王家ブランドロゴ入り呪いの腕輪、ぜひ、』


 (こいつ、誕生祭がどうとかは関係なく、皇子の腕輪をここで棄てようとしているだけだな)


 『プロの人』、

 「お願いします、外して下さい、呪いの腕輪を、」


 「行きますよ。立ちなさい。トラーが心配してますよ。わがまま言わない」


 がっかり。『トラーさん、またこっち見てるの?・・・・、』

 

 「行きますよ」

 

 「・・・・まあまあ」


 「・・・そういえば巫女シストのお嬢さんは、好きな人って今いるのですか?」



 「好きな人・・・?」



「この辺だと、そうですね。東の将軍ヴァルヴォアール公なんて、大人気ですよ」


 (おい、なんの為の質問だ?それは、)

 ギロリ!「今は巫女様シストは学ぶことで忙しい、それどころではありません。ですね、巫女様シスト、」


 「ヴァルヴォアール、大人気?・・・」、

 (好きな人質問からの流れに、何故チャラソウ・ヴァルヴォアールが登場するのだ?、奴はこの異世界ではブレスレット売りのお兄さんにも知られる有名人?だけど残念ながら、私には彼の印象として、呪いのリピート・アフター・ミーしか思い浮かばないのだ。終わりの見えない恐怖のリピート学習方法)しょんぼり。


 「あれ?、どうしたのかな、元気なくなったな。なんなら、他国の王族や貴族、将軍もいますよ。そうだなー、有名な人だと、やっぱり北方なら皇太子エン・ジ・エル、それにやっぱり第一皇子、あとは王族護衛軍、エグト神官将シャムラ・ナーギ!」


 『・・・え?エッグネギ?、・・・きつい、その組み合わせ、ご飯とお醤油が恋しくなる、つらい、異世界パン生活の今、その二つの魂をえぐる食品、匂いまで恋しい。つらい、』

 ・・・しょんぼり。


 〈〈・・・・〉〉


 「このお二人はあまり知らないのかな?、ならほら、有名なあの国、飛竜シーダの、ほら、あそこでも、居ますよね?良い将軍が、色がほら、他の飛竜シーダと違う将軍、」


 「しーだ?」、

 『ああ、ドローン?、ドローンの事ですよね?、ソウルフードの話じゃなかったのですね』


 ハッ!(!!、わかったぞ、お前、メイから〔その言葉〕を引き出させようとしてんだな、)


 「ね?、思い出しましたか?」、

 (誘導ではない。この子がオゥストロ殿の名を出せば、巫女様ミスメアリが東の地で彼を想い慕っていたと、真実として拡散し国に持ち帰る)


 ギロ。(・・・・お前、諜報ハインの枠から、逸脱してんじゃねえよ。ヴァルヴォアールと隊長は比べられねえけどよ、なんなんだよ、その熱意は、)

 

 シレ。(他意はない。ただハインとして、真実を伝達したいだけだ。それに、これから敵地ファルドに乗り込むんだ。その前に、巫女様このこが第三の隊長かたを想っていたと付け加えるだけで、士気が上がるだろう)


 ギラギラ。

 ソラシ、カワシ。


 (?、なんだろう。露店のお兄さんと姉さん、空気が不穏。私の気軽な物物交換発言がいけなかったのか?)ひやり。


 「お嬢さんが気になっている白色の腕輪、これは恋する少女に人気の虹石シラー。さあ、どなたか想い人が居るのでしょう?」


 『え?』、

 (なに?、好きな人強制発表継続?流れてないの?追求?、なにこの中学校以来の緊張感。大して友達付き合い無い人からの、空気の読めない〔好きな人だれ?〕質問攻撃)


 〈〈・・・・・・・・〉〉

 じろじろ、ギロギロ。


 (・・・・無言の威圧感、見下ろされる過重感。増す)


 じろじろ、ギロギロ。


 ヒリヒリ、ヒヤヒヤ。

 ハッ!(そうだ)、

 「・・・・これ、空貴石レオルラ?」


 〈〈!?〉〉

 

 さっ。(これも、空貴石レオルラ。しかも美巨人ブランドロゴ入り)、

 『好きな人・・・』、

 (婚約者(仮))


 〈〈・・・・〉〉


 「ごふせきは、買うのをやめます」、

 (回避回避、〔好きな人〕など迂闊に発言してしまえば、それをネタにあること無いことからかわれ、望んでいない少女マンガ展開を強制されるに決まってる。少女マンガは、読者としてが一番楽しいのだ。現実には、お涙イジメ満載の、山あり谷あり恋愛など、望んでいないのだ。オブラートに包めない、姉さんには何を言われるかは分からない。)

 ヒヤアセ。


 〈〈・・・・・・・・〉〉

 

 「・・・まあでも、道中貴族にはお気を付け下さい。ファルドは、まだ北方の人々を、大通りで見かける事はありません。天教院エル・シン・オールの方々でも、保護されるとは限らない」


 コクリ。

 うんうん、(恋愛ネタ沈静化、成功)



 「ありがとうございます。あなたにも、天の導きがありますように」





 通じているようで通じていない。言葉も文化も違う者たちのやり取りには、様々な齟齬が生じるものである。しかしそれも、お互い〔うんうん〕と理解するフリをすれば、なんとなくその場は通り過ぎてしまう事もある。ところで恋愛に対して過剰に自己防衛をする主人公なのだが、その防御力に磨きがかかるか、防御の薄いばしょを狙って攻撃してくれる敵が現れるかは、今後のお楽しみである。



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