気になる噂
『・・・・?』
じろじろ、ジーーーーー。
〈・・・って言ってたんだけど、やっぱ鼠猿だよね?〉
〈・・・・〉
〈ほら、ヴェクトも同意だよね〉
〈してねえ〉
〈でも否定もしてないじゃない。〉
〈〈・・・・〉〉
じろじろ、じろじろ。
〈なんのおはなし?スアハのメイ、あんまりじろじろ見ないでね〉
〈いや、なんかガーランドの飛竜の休憩所の中で、メイの事、黒長鼠って呼んだ無人が居たんだよね。それで確かめてるんだよ〉
〈黒長鼠?メイが?〉
〈〈〈・・・・〉〉〉
じろじろ、じろじろ、じろじろ。
『・・・・・・・・』
〈大猿〉
〈鼠猿の子供、脱毛した子。〉
〈・・・・黒長鼠、は、ないよね〉
じろじろ、じろじろ、じろじろ。
『ナンナ・ノア?』クルリ!ふりっ!
〈〈〈!!!〉〉〉
〈あー、あれが黒長鼠か。〉
〈んー、だね。頭に付いてるアレ。まあ黒いし、似てるかも〉
〈・・・黒長鼠よりも、かわいいよ〉
『?、・・・・・・』くるり、ふりっ。
〈〈〈あぁ。んー。〉〉〉
うんうん、じろじろ、うんうん。
『アカラ・ナンナ・ノア!?』
クルリ!ブンッ!
〈メイ、怒らないでね。なんかね、短足たちの休憩場所で、メイのこと、黒長鼠って、悪口言っていた無人が居たんだって、〉
『?、カッパ、ア』、
〈もう少し、ゆっくり、お願いします〉
「ガーランドの無人の家、第三の砦って所に、一人だけ銀の頭の男が居たでしょ?目に硝子をかけてる。あれが、メイのこと、黒長鼠って呼んでたんだ。だからヴェクトと確かめてた」
〈俺は確かめてねえ。〉
「え・・・?何ですか?カラテテって、前にも、言われました?誰かに?」
「え?黒長鼠知らないの?え、えーと、ほら、このくらいの、鼠、わかる?地鼠とか」
〈え?、メイ、鼠知らないの?スアハが教えてあげるっ!小さい、ヂューッって鳴くやつ、それの黒色だよ!少し胴が長いの〉
ボソ、〈嘘だろ、気になるだろ。・・・・・・・お前にかなり、似てるだろ。あの種族〉
『テテ、・・ロテ、チテ?』
「あ、そうだ。メイ、広場の森で見つけて、鼠猿の子供、食べる食べるって騒いだじゃん。あんな感じの小さい子」
ーー〈え?〈ハア!??、〉〉
『オォウ?マァカ、ネウミノコトカ?』
ザワリ!
〈メイ、また鼠猿の子、食べようとしたの?〉
ボソリ、
〈駄目だろ。コイツはアレは、〉
ヒソヒソ、
〈だよね。だから止めたよ。食べさせて無いよ〉
『メガネコーシが、ワタシノコトオ・ネウミだと?』
うーん。
〈メイも、立派な無人なのね。ざんこく〉
ボソ、
〈食ってねえなら、問題ねえ〉
ヒソヒソ、
〈同族はねー、さすがに食べたら駄目だよねえ。あ、スアハ、またじゃなくて、この前の話だから〉
『・・・ナゼダ・メガネ・・・、』
多種多様な文化の違い。その代表はやはり食文化の違いである。この溝を埋めるには、どちらかが歩み寄り、食わず嫌いの克服と、寛容で勇気ある一口が必要となってくる。
その一方で主人公は、他国多種族の人々に心ないあだ名を付けて認識していた因果応報が、その身に降りかかった現場でもある。




