表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界人観察記録  作者: wawa
南方大陸大精霊の泉~
23/61

爪痕の重さ(その場の追記)



 ーーザザーン、ザザーン。



 〈少し、よろしいですか?〉


 〈ぁあ?〉


 〈なに?北方セウスの代表〉


 〈南大陸ゴウドの者が、縄張りの主張に印を付ける事は知っています。ですが、先ほどのお二人の話では、印を付けた事により、この船はヴェクト殿の物だとの認識であると、そうお考えですか?〉


 〈当たり前だ〉


 〈そうだね。やっぱり、こういう乗り物には、印を多く付けた方が、権利あるかな〉


 [・・・・・・・・]


 〈で?、なに?〉


 〈その主張、南大陸以外では、通用しないのです。現にこの船は、ガーランドの物なのです。巫女様ミスメアリのご迷惑にならないように、お気を付け下さい〉


 〈〈???〉〉


 〈他国には様々な尊重すべき文化があります。お二人の主張に関するお考えは、他の国では諍いの元となります。それは全て、巫女様ミスメアリ、・・・・メイ様の、負担となります。お気を付け下さい〉


 〈・・・・・・・・〉


 〈多分、大丈夫だよ。争わないよ〉


 [?]


 〈・・・・・・・・〉


 〈だって、この船の場合、結局は印を付けたヴェクトに従わなければ、船を動かしているガーランドの人たち、海に捨てちゃえばいいでしょう?〉


 [!!]


 〈問題ない。印を付けるという事は、そういう事だ。この場の支配が目的だからな。俺より強いものは、この場には居ない〉


 〈そうそう。俺は面倒くさいから、ヴェクトにこの船は譲ってあげたの〉


 [・・・・・・・・。]


 〈北方セウスの戦士、お前は俺の印に挑戦したいのか?〉


 〈ププ〉


 [ですから]、

 〈それが負担になると言っているのです。先ほど、あの銀色の子供に、序列や常識の話しをしていましたね?その中に、南方の長から、他国の規則に従えとの言葉もありましたが?〉


 〈当たり前だ。他の縄張りに入るのに、いきなり荒らしたりはしない〉


 〈そうだよ。それは厄災を呼ぶ危険があるからね。知ってる知ってる〉


 [ですから、]、

 〈その縄張りの主張、この船を、自分の物にするという発想が、そもそも荒らす行為そのものです〉


 〈〈??〉〉


 〈大体、言うことを聞かないからと、船員を海に投げ入れるという発想は、間違えています。投げ入れて、その後、あなた方は、この船を操作、操舵出来るのですか?〉


 〈・・・・〉


 〈あー、そうだよね。出来ないかも。大きすぎるよね。手漕ぎじゃないし。面倒くさそう〉


 〈そういう事です。巫女様ミスメアリの、ご負担にだけは、ならないで下さい〉


 〈・・・・・・・・〉


 〈あーえー?、そうか、なるほど、・・・だよねえ、そうだよねえ。危ない危ない。スアハを笑ってる場合じゃなかった。空長フォートの言い付け、自然に俺も、破るところだったよ〉


 〈では、失礼致します〉


 スタスタスタスタ・・・・。



 〈・・・・・・・・フン。〉


 〈危なかったねヴェクト、これが文化の違いってやつだよね。スアハに笑われるトコだった。〉


 


 南方民族は、良くも悪くも素直な考え方をしている。この後の道中では、こうした些細な思い違いを他国の同行者が解消し、わかり合う事によって最悪の結果を未然に回避する事になるのだが、その主な役割は、北方の要人警護主任と、ガーランド国の女性警備隊員が請け負う事になる。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ