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妻を思う
産まれた娘を抱いたのは産後一週間もすぎた頃。謝る私に君は笑って、母と弟が私を叱る。
育児に参加はあまりできなかった。
たまに夜泣きした娘を連れて夜の散歩に出たくらい。私だけで娘を連れていけるまでに何度も君がついてきた。
季節の行事への参加もイマイチ。
怒る娘を君がなだめる。
記念日も行事もすっぽかすダメな父親だとは知っている。
妻子の誕生日すら忘れるなんてありえない。
そう怒った娘にただ謝るしかない。
言い訳をするならいつだって祝うべき記念日なのだと思うんだ。
日常を重ねられる奇跡に花を贈ろう。
いつだって君たちがそこにいてくれることに感謝する。
あたりまえだと感じぬように。
好きだと、愛していると伝えよう。
言葉にならない心は伝わりにくいのだから。
命はしぶとくも儚いものだから。
伝えそびれたくないというわがままだろう。
「今日も素敵だよ。奥さん」
君が眩しい笑顔で振り向いてくれる。