表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気まぐれワンシーン  作者: とにあ
16/46

裏方万歳

 別荘の管理人はうだうだと惚れた女の自慢をする。化粧っ気はないが家族思いで一途。叶わない相手に恋してる。この時点で当て馬かよ。管理人。

 別の別荘の管理人家族の娘さんはしゃきしゃきした働き者。見かける限り二人の仲は悪くなく周囲はいずれくっつくと見ているようだった。

「嫁に来い」と言うたびに思いっきり拒否されてはいるけれど、彼女もまんざらではないのではないだろうかと言う反応なのだ。

 彼女の別荘の持ち主は我らが姫の許嫁。

 まぁ、別荘が悪趣味なのは当人の趣味ではないので放置だ。しかし改装プランは思いついて欲しいところだろう。

 ちびっこどもが見上げてくる。その物言わぬ眼差しは雄弁に『なんでいるの?』と言っている。ああ、邪険にされてる。


「あ、バイパーも夕飯食っていくだろ?」

「はい。よろこんでー」


 ちびっこどもの視線温度がなお下がった。

 うまうまと夕食を済ませふらりと外に出る。

 甘いお姫様の匂いを感じる。

 みっともなく涙をこぼしながらものすっごく前方不注意で進んでいく。

 なにかあったかと思うけれど、仕事はお姫様の安全確保だ。

 足元の枝は取り除き、凹んだ場所には板を敷き出来るだけ先回りして害虫駆除。湖を前にしてお姫様が立ち止まる。うん。流石に前進されるとおっちゃんちょっと困るなー。


「私はお父さんの娘だから愛されてるのにね」


 まぁ、その通りなのだけど。


「オイヤですー?」


 あの方の血と同じ血を持つから守る愛する。本能のように。


「好意は嬉しいの」


 少し思うところがあるのはわからないでもない。


「でも、条件が同じなら私じゃなくてもいいんでしょ」


 小さな声は素直な屈託だろう。


「もちろん、坊っちゃんたちも愛おしく思ってますよ。ですけどね。俺らにも好みってヤツはあるんです」


 お姫様は好きだとも。

 だから、案内するのは決まってる。


「おかえり。バイパー。……あれ、ミア?」

「ち、千秋兄!」


 飛び込んできた妹分に赤毛が揺れる。


「久しぶりだね。どうしたの?」

「ママに会いたかったの! 千秋ママに!」

「誰がママだ! 誰が!」

「やーん。千秋兄こっわーい」


 元気が出たようでなにより!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ