本編 26 〜増殖 12(完結) 〜
瑠璃が増え始めた……
41.部品サイズ
あたふたと……部屋に戻り、箱の中から布に包んだ部品、Lapis Lazuliのコピー部品、#3タイプの腕を取出す。自分の腕を外し、その腕を当てて見る。
「合わない……けど、前ほどじゃない。……なんで?」
前に瑠璃3に言われた言葉を思い出す。
「身長が違う? 瑠璃2と頭一つ……」
自分と瑠璃2は同じゴチックドール。だが、バージョンは違う。その差は……?
自分の記憶を遡る。瑠璃2を作った時の事を。その時の総てを。
だが……その記憶は望んだ情報を携えてはいない。
ならば……他にも背を比べられる時は?
(そうだ。瑠璃3を作って……玄関先で担いで……部屋に運んだ。その時は……そんなには)
だが、自信は無い。自信が無い? アンドロイドなのに?
いや! アンドロイドだからこそ変化する訳がないと、気にもしなかった。
(身長は……自分で脚部ユニットは……交換したけど……)
瑠璃1はジャンク屋で仕入れた部品の中で自分の身体に合いそうなモノを見つけてはストックして……折りを見ては合うかどうかを調べていた。その中でサードパーティから出ていたゴチックドールのオプションパーツを見付け、密かに交換した。だが……
(その差は……頭一つでは無い……無い筈)
「瑠璃2っ! 瑠璃2。居るっ?」
思わず叫んだ。奥の部屋から瑠璃2が眠そうな仕草で、起きて来る。
「ふぁい。なぁに? も少し御主人様のベッドで微睡み……ひゃいっ」
「ちょいと……あれ?」
無理矢理に背を伸ばし、前に立ち、背を比べる。瑠璃2の頭は……瑠璃1の丁度、喉元あたりだった。
「ふに? 瑠璃1ちゃん。背が伸びた? ……どしたの? 皮膚色素コントロー
ルが暴走しているよ? 腕はどしたの? 修理中?」
瑠璃2の言葉を無視して蒼白となりながら自分のスペックを確認する。
(処理能力……いや、そんな所じゃなくて、外寸スペックは……体重。違う…
…あった!)
「身長を計るモノ……メジャー……この前、仕入れたハズっ!」
部屋に戻り、メジャーを捜す。程なく見つけて……計ろうとは思ったが、慌
てて居る余りに方法が思いつかない。
(自分で自分の身長を計る方法……えーと)
その時、部屋を覗き込んだ瑠璃2がぼそっと呟いた。
「身長を計るんだったら、柱とかに自分の頭の位置に傷つけて、その高さを計っ
たら?」
「それだっ! ……って、何でアンタは冷静なのさ?」
「ふぃ? 瑠璃1ちゃんが慌てているだけだと思ぉ……きゃいっ!」
「いいからっ! 頭の位置を傷つけてっ!」
入口近くの柱に背を向けて立ち、三角定規を瑠璃2に渡す。瑠璃2は不満そうな顔をしていたが、玄関脇の木箱を台にして、伸び上がって柱に傷つけた。
「つけたよ……ひゃあっ」
瑠璃2を突飛ばさんかの勢いで瑠璃1はその高さを計る。
「……あれ? そんなには」
その高さは……自分の本来の高さ+交換した部品の長さの総計とはそんなには変らない……とは言っても確かに違う。
(でも……瑠璃2と頭一つ以上の差には? ……ん?)
「ちょいっ!」
「ひゃあっ(がぎん)……いたぁ。きゃあいっ! あぅぅ……瑠璃1ちゃんが苛めるぅ。けほけほ……」
側で木箱を片づけようとしている瑠璃2を無理矢理に柱の前に立たせて、頭の位置の柱に傷をつけ、瑠璃2を放り出し、その高さを計る。その過程で勢いのあまりに玄関脇の柱に頭をぶつけた瑠璃2を気にもせずに。
「……縮んでるぅ? なんでっ! ……って、アンタそれ何?」
咳き込んでいる瑠璃2の口の中から何やら銀白色の小塊が数個、床に転がる。
「ん? 知らない。最近、出て来るよ? 中で部品が擦れてんじゃ……」
「んな訳ないでしょ。アタシ達は市販品としてその辺の品質管理はちゃんと…」
自分の言葉に疑問が湧く。
市販された以上は品質管理されている規格品。少なくともメーカー内の規格は守っている筈だ。だが……
「私達は規格外品ばっかりだよねぇ……」
先行生産品。試作品。小数生産品。研究用躯体。少なくとも量産品では無い。
「……ん? けど、アンタは量産品よ? シリーズとしては最終生産バージョンだけど、私みたいな未販売品とは違う。ん……コレって?」
床に落ちた小塊を拾上げて、繁々と見る。色と大きさと重量から材質を推定する。
「……チタン? 確かにアンタも私もフレームはチタン合金だけど……」
「ふに? でも対テロ用じゃないよ?」
「わかってるっ! でもね、動かしているソフトは対テロ用そのもの……」
続く言葉に然程の意味は無いと呑み込んで手の中の小塊を注視する。
「……どっちにしろ。これは……調べないと。でないと……」
落着いた声で呟き、瑠璃2を見る。優しげな目で……
「アンタが居ないと……ね。人間で言う所の『寂しく』なるからね」
「ふぃ? ……変なの。瑠璃1ちゃんって」
「アンタに言われるほど変じゃないわよ。昼寝の邪魔して悪かったね。アタシはコイツを調べるから。じゃ」
瑠璃1は瑠璃2を奥の部屋へと送ってから工作部屋へと戻り、小塊をもう一度見る。
「しかし……これって? ……きゃあっ!」
瑠璃1の悲鳴を奥の部屋で聞いた瑠璃2は心配げに扉の向うを見たが、小首を傾げ……眠たそうな表情になって、S.Aikiのベッドに潜り込んだ。
42.見えるモノ
「さぁ……出てらっしゃい」
瑠璃1はジャンク屋から十把一絡げで仕入れた工具の中に何故か入っていた双眼顕微鏡を持ち出して、銀色の小塊を見ていた。
「さっき顔を出した……アメーバみたいなヤツ……どこ〜? ここかな〜?」
チタン製ピンセットでひっくり返しながら低倍率で小塊を直接見る。小塊のままでは焦点が合い辛いが、相手は曲がりなりにも金属。そう簡単に薄片には加工することは……少なくとも今、現在の手持ちの工具では出来ない。
「ここかな〜? きゃいっ! ……ん?」
何回か小塊をピンセットでひっくり返した時、白色のアメーバみたいなモノが吃驚したような顔で顕れ……何故か気恥ずかしそうな表情で手(のような突起)で頭(らしき突起)を掻きむしり、改めてこちらに向かって手を振った。
……まるで隠れんぼしていた子供が見つかった時のような。
「……なんだ? これ? へっ? ……これ、やめれ」
ピンセットの先でアメーバにちょっかい出すと……その先に噛りつく。
「……チタンを食べる? 金属アメーバ? んむ?」
ピンセットを離すとアメーバは一寸だけ大きくなった身体を溝に埋め……そして金属に染込むように消えていった。その消えた後には……溝が少しだけ短くなっていた。
「……え? 溝が……埋まった? つまり……」
「形状を復旧していルのよ」
不意に……誰かの声がする。辺りを見渡すが誰も居ない。
「何処を見ていルの? コッチよ」
その声がする方を見上げると……窓の上。上下逆さまに窓の上桟に腰かけた少女……いや、アンドロイドが居た。
「ぎゃあっ! ……って、アナタ……ラプラス?」
「そウ。私はラプラス・バタフライ。お久シぶりね……と言ってもアナタとは初対面ネ。Lapis Lazuliのコピーさん」
ラプラス・バタフライと名乗るそのアンドロイドは上桟から天井に飛び降りると、そのまま歩いて天井から吊下げられた蛍光灯をカウンターチェア替りに座った。丁度、上を見て仰け反る瑠璃1と点対称の位置で。
「なんなのよ。アンタ。重力を無視すんのにも程があるわよ」
「仕方ないデしょ? ワタシはアナタのレンズの関係で上下逆さまにしか映る事ができないンだから」
「レンズ? 上下? はっ。天体観測じゃあるまいし」
「ん〜。その表現は的を射ているワ。でも、適切では無いケどね」
「? 何、訳判んない事を言っているのよ。で? 何しに来たの?」
「その子の説明にネ。……でモ、説明は必要?」
ラプラス・バタフライの言葉に暫く黙っていた瑠璃1だったが、おもむろに口を開いた。
「……つまり、カタシロ・クリームの成れの果てって事ね。それで? 修復をしているって訳?」
記憶……いや、Lapis Lazuli、瑠璃と引継がれた記録から瑠璃1はアメーバの正体をあっさりと言当てた。……だが、それはラプラス・バタフライを目の当りにしなければ簡単には導かれない結論。
「そウ。その子達はアナタ達の『本来の姿』になるマで部品の修復を続けるワ。ちょっとダけパワーアップしタから修復ダけじゃなくて改善もするワよ。もチろん、機構の増設とか根本的な改善は出来なイけど……ゆっクりと……でモ、確実にネ」
「本来の姿? つまり?」
「アナタにとっテの本来の姿と感じてイるLapis Lazuli市販タイプ#3。その腕が繋がる本体の姿まデにね」
「……ということは瑠璃2は?」
「さァ? あの子にとっテの理想……いえ、『本来の姿』までは修復し続けル。それだケよ」
「瑠璃3達とかは? どうなるの?」
「さァてネ。あの子達は今の自分の姿が本来の姿と感じテいるンじゃなイ? だったら変化は無いワ」
瑠璃1は納得した。……が、最初に感じた疑問は解決されてはいない。
「ちょっといいかしら?」
「なんナりト」
何やら楽しげなラプラスの態度に瑠璃1は少しだけ不愉快になった。
「アナタは何しに来たの? 何の為に私達のプロトタイプであるLapis Lazuliに近づき、こんなヘンテコで便利なナノマシーンまでプレゼントしてくれて。……この分だと御主人様が無闇矢鱈に怪我の癒りが早いのも似たような仕掛けでしょ? 何の為にそこまで親切にしてくれる訳?」
その理由は記憶、いや、記録の中には無い。推定するにも条件が少な過ぎる。
「そウね……。単純に言えバ、感傷的にシた過去の干渉の結果を観賞しに来たノよ」
「はぁ?」
何の事なのかは……瑠璃1には判らない。
「気にすル事はないワ。アナタはアナタであるマまにアナタがしタい事をすレばいい。少なクとも……実現できルかどうかは判らないケど」
「何それ? 全部……これまでの事もこれからの事も判っているかとでもいうのっ!?」
「きゃはハは。99.9999%以上の事は判るワよ。でも、全部じゃなイわ。例えば……」
こくりと小首を傾げてからラプラスは言葉を続けた。
「……少なくトも、あの砂漠でLapis Lazuliに在った時点での想定ではワタシにそウいう質問をすルのはアナタでは無かっタわ。そして……」
瞳を閉じてラプラスは苦しげな表情になった。
「……アナタ達の『この先』もワタシには……少なクとも、あの時点では考えもシていなかったワ」
「……何それっ! 全部判っているというのっ!? 過去も? 未来もっ!」
「99.9999%以上わネ。でも、100%じゃ無いワ」
「じゃあっ! 余計な口は挟まないでっ!」
悲しげな顔になり、ラプラスは椅子(天井の蛍光灯)を降りると、窓枠へと向かった。
「何よ? 帰る気? もうちょっとちゃんと説明してから……」
「帰らないワ。既に帰る場所は無クなったから……時空の間で漂うダけ」
「……え?」
「そシて消えるダけよ。情報も媒体が劣化すれバ何れは消えて無くなるから……」
「何、訳判んない事を……」
「いつか判るワ……。いえ、アナタ達が今の言葉を理解しない事だケを祈るワ」
不可解な言葉を言った後……ラプラスは窓枠に腰かけて改めて瑠璃1の顔を見た。
「アナタに似せてこノ世界での形を選んダのに……アナタは……アナタのままではイる事を選ばなかっタのネ」
「……え?」
最後に……にっこりと微笑むとラプラスはそのまま後ろへ身体を預け……空へと落下して行った。
瑠璃1は慌てて窓に近づくと、上空へと落ちて行くラプラスに向かって叫んだ。
「何処に……。いや、何処に居ても見つけてやるわよ。いつかアンタの場所に辿り着いてやるっ! それまで精々、好きな場所で漂ってなさいっ!」
憤る瑠璃1の言葉にラプラスは……楽しげに、そして悲しげに笑い……消えて行った。
「……そうネ。まタ……会えルと良いワね……」
43.人格の記憶
……結局、私達の人格(?)は記憶に基づくらしい。その記憶というのも……なんというか、『動作記録』というか、『動作判断データベース』というべきか……つまりは『どういう状況でどういう動作をしたらどうなったか』というのが詰まっているのが、私達アンドロイドの動作挙動関係のデータベース。それらを再解析してデータの再配列を行う事で、各個の行動の判断基準が構築されて……その結果として個性が造られるらしい。
これは最近、私自身が御主人様や瑠璃姉ぇに『データが増えている所為か性格が丸くなった』と言われて自己解析をした結果なのだが。
『自分自身』を示すデータが『自分自身に無く、自分以外のデータ』だけである時は……まぁ、人間で言う所の『苛ついた』状態となるらしい。今は……この機体でのデータが私の行動のベースとなっている。それで落着いて来たらしい。
瑠璃2は……今思えば、あの紅葉原での……パンチの件があってから、落着いたようにも思える。……まぁ、ゴチック・ドールといえども行動のデータは基本記録として記録されている。OSの中に蓄積されるキャッシュデータみたいなモノだが。色々とハード関係の記憶……製造番号のバックアップなんかも兼ねているので、クリアせずに上書きしたのだ。私の時もクリアしたのはOS関係だけ。この手のデータはハードディスクなんかの不可視域に蓄積して行く。違うOSになっても、手の動かしとかを忘れないようにだけどね。まぁ……それを解析しながら、自身のデータとして整理して行くのだが……何が何処にどうなったのかは……瑠璃2さえも判らないだろう。私も私となって以降の自身のデータ自体が私のメモリーの何処にあるやら。私達のOSの記録方式、要素分割連結法分散型記録方式というのは限られたメモリーに大量のデータを詰込むには有効だが、整理するのが一苦労。要素の繋がりの順番だけで……ん? 何の話だ? そうそう。報告リポートを作っているんだった。
んで、最近、瑠璃3達が騒いでいるのも……とは言え、瑠璃3自身は護衛という事に必死で周囲の状況に然程、気を配る事はない。専ら騒いでいるのは瑠璃30と瑠璃31である。……が、瑠璃4や瑠璃5の事を訝しんでいる。
それも彼女達の行動データが彼女達自身の自信となるほどに積み重ねる事ができたら……そういう事もなくなるだろう。たぶん。
実際、瑠璃3達が組手と称して暇を見つけては模擬戦闘を繰返すのも、そういう事なのだろうから……
……あんまりアンドロイドによるアンドロイドの報告らしく無いな。
そうそう。……あのラプラス・バタフライの件は御主人様と瑠璃姉ぇにきちんと報告はしたのだが、未だに、あまり信じては貰えてはいないようだ。
大体、信用レベルのMAXを10としたら3ぐらいなモノだろう。
御主人様は『瑠璃1が虚偽を言う必要はない。ならば真実だろう』とは言ってくれたが……ま、信じて貰えて居まいが居ようが、事実には違いない。
それで私には充分だ。
さて……今日は御主人様達は来週の展示会の会場の下見に行った。
オニキス湾の最奥域を埋め立てて造られた、スカイ・オパール経済障壁解放区。そこに最近、建造された『トリニティ・タワー』内の『摩天楼展示場』。
……しかし、あの木偶人形の市販品、アルファ・T2の展示会なんて見に行くだけ時間の無駄だろうに。
社命というモノらしいが、人間の世界は無駄で不可解な決め事ばかりだ。
……ん? 誰か来た。
「んー。この足音は……」
瑠璃1はチタンの細長いボルトを咥え直すと、背後のドアノブが回されると同時に声をかけた。
「御疲れ、瑠璃10。その足音だと、いい出物は無かったようね」
「只今戻りました。ええ、すっかり。Lapis Lazuliさん関係のパーツは綺麗さっぱり。……そんなに皆さん、木偶人形に期待しているんですかねぇ?」
長い髪を後ろで軽くまとめた、すらりとした白衣姿のアンドロイドが背に担いで来た荷物を部屋の隅において、瑠璃1の前に座った。
「おかえりっ! 瑠璃10っ! ねぇ? なんか可愛いアクセサリー在った?」
「只今帰りました。瑠璃2姉様の好みに合うかどうか判りませんが……」
瑠璃10と呼ばれたアンドロイドは白衣のポケットから花を象った髪飾りを取出して、瑠璃2に渡した。
「きゃあっ! 可愛いっ! ねぇ、ねぇ? つけてもいい?」
「ええ。どうぞ。気に入って貰えたなら嬉しいです。このブローチもどうです?」
「わーっ! 可愛いっ! みんなに見せにいこォっと」
「瑠璃2。夕方までには帰るんだよっ……て、もう居ない。何であんなにアンドロイド離れした行動ばかり……まるで人間の4、5歳児みたい」
「ふふ。仕方ないんじゃありません? 御主人様にあまり構って貰えないようですし。自分自身でその行動要求を発散させているようですから。それに……」
瑠璃10は小声で瑠璃1に耳打ちした。
「あの髪飾りとブローチは発信器になってますから、この前みたいに行方不明にはなりませんよ」
「ん。ご苦労さん……ん」
瑠璃1は振返って、瑠璃10を繁々と見る。
「何か? 顔についてます?」
「いんや。なんでアンタはそんなに落着いているのかなと思ってさ」
「そりゃ……私は瑠璃1姉様のコピーの身でありながら、既に瑠璃1姉様が求めている身体でいるからでしょうね」
そうだ。瑠璃10は私のコピー。それで、私がいずれは交換しようとして集めたLapis Lazuli市販タイプ#3の部品(……と幾つかは私の手作りのパーツと他のアンドロイドのパーツだが)で作った私の部下。
「……ま、最初から落ちついているというのはいい事だね」
「ひょっとして……私にパーツを使った事を後悔しています?」
瑠璃10の問いかけに瑠璃1は楽しげに笑って応えた。
「後悔するぐらいなら最初からしないサ。それにアタシはアンドロイドであって人間じゃ……」
「人間じゃない。『後悔』なんて『判断処理が甘い』という証明にしかならないことはアタシはしない……ですよね?」
小首を傾げて、にこりと笑う。銀縁の眼鏡が何ともいえず清楚な色香を……って、アタシはおっさんかい!?
「……ま、そういう事。判ってたんなら、さっさと瑠璃3達の追加パーツを……」
「はいはい。使えそうなマニピュレーターを見つけて来たんで。さっそく……」
楚々と瑠璃10は荷物を拾上げると、工作部屋へと消えて行った。
「ま、あのコが出来たんで……アタシも楽が出来るって……モノだねぇ」
「瑠璃1チーフ。何してんですか? さっさとレポートまとめて手伝って……じゃなくて指示下さい。ネ?」
ギロリと睨んだアタシの視線にビビって瑠璃10はドアの影へと隠れた。
ふふん。やっぱり、部下が居るというのはいいモノだ。
これはニフティのSFフォーラム内にあった「マッドSF噴飯高座」より派生した拙作です。
第2章 〜増殖〜 は今回で完結です
次話より 第3章 〜トリニティタワー〜 となります。
時系列的には、トリニティタワーとの間に外伝集の「あるアンドロイドの不可思議な日常
」が入る……のかも知れません。
すみませんが、2、3日、更新をお休みします。
宜しかったら、投票、感想など戴けると有り難いです。