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第五話   「我侭」

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 Tea time.5

  By seeking the truth, I learned my own foolishness.

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「わたしは、我侭かな」


「何故、そう思われるのですか?」


「だって、わたしは与えられてばかりだもの。それに甘えて、貴方……だけでなく、他の使用人、メイド達を、いつも困らせてる」


「……我々は、お嬢様の生活を守り、助け、喜んで頂く事で賃金を頂いているのです。ならばそれは、お嬢様の持つ当然の権利ですよ」


「でも、普通の家庭の女の子に比べたら、我侭でしょう?」


「……我侭というのは、自分の立場、器以上を望み、それにより他者に迷惑をかけることだと私は思います。

 もし、それでも欲するなら、相応の努力をしなければなりません。立場に差こそあれ、それが出来るか出来ないか、ですよ。

 もっとも、『贅沢』と称されることは、否定いたしませんが。それに……」



 目を伏せ、穏やかに笑う執事。


 それは、確かに少女の悩みを子ども扱いしての笑いだ。

 ――でも、不快に思えないのは、それが少女の成長を感じた喜びでもある為で――



「それに?」


「私達は皆、賃金、主従だけでなく、純粋にお嬢様に喜んでいただきたくて、ここにいます。

 そのための行為を、迷惑をかけていると思われることこそ、おそらくは不本意かと」


「そうなのかな……」



 彼はそういうが、自分にそれだけの価値があるのだろうか。

 貴方がわたしにくれる、この暖かいものに吊り合うだけの――



「ねぇ、最後に、ヒトツだけ聞いてもいい?」


「なんでしょう」




「貴方にずっとそばにいて欲しい……って、我侭になるのかな?」

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