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執事さんとお嬢様 ~甘党の為のお茶会~  作者: ぐったり騎士
執事さんとお嬢様

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39/70

第三十三話 「魔法」

  

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 Tea time.33

  The wizard made a lot of people pleased by her magic

   and changed sadness into the smile,

   because she likes to see it.

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 小さい頃、それは魔法だと信じていた。




 指先が触れていくと、ただの布が宝石へと変わる。


 それが嬉しくて、ただ嬉しくて、ずっとその光景を見守っていた。




 自分が始めたのはいつだったか。


 自らやりたいと思ったのか、糧を得るためやらされたのか。


 どちらにしろ、それが魔法の解けた瞬間だ。



 魔法に必要だったのは、箒と呪文ではなく針と糸。



 指先から鮮血が滴るたび、失敗の代償が血であることだけは魔法(それ)らしい、と思った。


 それでも、いつかは望んだ形が彩れるようになって――






「綺麗……すごいなぁ……」



 感嘆と共に、少女はハンカチに刺繍された花弁を指先でなぞる。


 たまに光に透かしてみたり、見る方向を変えてみたりと、せわしない。



「お嬢様用に何か作りましょうか? 動物や植物なら、大抵の物は作れますけど」



 刺繍を凝らしていた別のハンカチをメイド服の膝元に置き、楽しそうに彼女が言う。



「いいの?」


「ええ。それに、こういうのものは、自分のためより、誰かのために作る方が楽しいんですよ」



 それなら……と、少女は少し照れた様子で、お気に入りの動物の名前を挙げる。


 彼女が承諾して、少女は礼を述べると再び刺繍に目を向けた。

 


「それにしても、元は針と糸だけなのに……。なんだか魔法みたい」



 言われて――彼女は、思わずくすりと吹いてしまった。





 そうですよ? だって――



「あたしは、魔法使いですから」

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