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第三十二話 「手紙」

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 Tea time.32

  My heartfelt thanks for letting me know…

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「手紙って、大変よね」



 父親、そして幾人かの近縁に出す定期報告の意味もある手紙を書きながら、少女は唐突にそんなことを呟いた。



「何故そう思われたのですか?」


「親しい人に、ただわたしの日常を伝えるだけなのに。どんな文で書こうか考えてしまうの」


 ああ、確かに、と執事は頷いた。



 飾らない言葉で書けばいい、といわれれば、確かにそうだ。


 だが、だからといって、会話の時のように言葉を紡ぐのとは違うだろう。


 直接伝えなければ意味のない言葉と、口にすることで価値の下がる言葉もある。


 直接会話するより不便だからこそ、気づくことができる言葉の重さ。



「それに、挨拶や社交辞令みたいなただの定型文だとしても、ドキドキしてペンを持てない事だってあるのよ?」


「すでに決まっている文章を、ただ書くだけ……でもですか?」



 少女は、そうよ、とそっけなく頷く。

 可愛い仕草で、少しだけ頬を膨らませていた。



「だって、あなたに送った雇いたいっていう手紙と、貴方に渡した契約の書類。……わたしには恋文(ラブレター)そのものだったんだから」

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