第二十八話 「空言」
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Tea time.28
You deceive me with a gentle lie.
Thus, I hate you.
…Though it is a lie.
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「よく、女の涙は信用できない、勝てないっていうけど……。そんなふうに言われるの、なんかずるい気がするのよね」
「別に、『勝てない』という話ではないと思うのですが……。妙なところに、こだわるのですね」
あなただって、泣いたあの子に勝てないくせに――
そう、軽く毒づくメイドの彼女。
「女は優しくされることには勝てないのに、そのことは比較されないもの」
たとえ、全ての言葉が嘘だとしても、許すことしか出来ないから。
たとえ、全てをわかっていても、望んで騙されてしまうから
優しさで騙されるのは、虐げられるよりよほど残酷。
「だから……もし、あなたの優しさが偽りなら――最後まで、あたしを騙し通して」
ただの言葉遊びから――彼女が脆くなる一瞬。
執事は、黙って彼女の髪に接吻けた。




