第二十六話 「小鳥」
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Tea time.26
A small shuttlecock soars into the sky.
I believe I can fly someday too.
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夢。
青年は夢を見ている――
小さな一羽の鳥の夢を。
我侭、無邪気、純真。
少女であるが故のその特権。
成長するにつれ、失っていくものであるが、
それは、自ら捨てる必要はなく。
なればこそ少女の翼は美しく、だが、空を飛ぶには目立ちすぎる。
きっと、その身を狙われ傷ついて、淀んだ空気に燻られ、
灰と悪意が彼女の羽を汚してしまう。
それでも、彼女が決意を持ち、羽ばたいて飛び立とうとするのなら
自分は見守ることしか出来ないのだろう。
それでいい。
いつか、その日が来る事を望み、その為に自分はここにいるはずだ。
でも――
舞い落ちる羽を掴み、青年はそれにそっと接吻ける。
もう一度、少女が腕の中に戻る事を願って――




