第二話 「読書」
-----------------------------------------------------------------------
Tea time.2
This book inspired the girl with a mischievous mind.
-----------------------------------------------------------------------
「どうぞ」
すでに就寝したものと思っていた主の書斎から漏れる光に、もしやとノックをすれば、確かな少女の声。
「お嬢様、まだ起きていらっしゃったのですか?」
「なんとなく買っただけの本が、面白くてね。区切りのいいところでやめようとは思ったのだけど。」
「娯楽小説ですか。お嬢様にしては珍しいですね。どのような内容か、聞いてもよろしいですか?」
「お嬢様に密かな思いを持つ執事の話」
くすくすと笑う少女の顔に、少し頭痛めいたものを感じながら、
「本当に、なんとなくで選んだので?」
「もちろん、貴方をからかう為に。……な-んて、ね。ただ、本当に面白かったのは予想外だったわ。でも……さすがに明日に差し支えるから、もう眠るわ。でも其の前に……」
「レモネード、ですね? 温めてまいります」
「あら、よくわかったわね。ありがとう」
「もちろんです。片思い中の執事ですから、これぐらいは気づかないと」
「……ぷっ! くすくす……もう、拗ねないの。変なところで子供っぽいんだから」
「それでは、失礼します」
「そうそう、言い忘れてたわね」
下がろうとした青年に、少女は先ほどと同じような笑顔で呼び止める。
「なんでしょう?」
「この小説だけどね。……実は二人、両思いなのよ」