第二十四話 「寝室」
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Tea time.24
I wish you the sweetest dreams.
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「おやすみなさい。明日もよろしくね」
小さな蜀台が控え目に光を放つ、少女の寝室の前で。
背伸びをして、執事に軽い抱擁をしながら、彼女はそう囁いた。
執事の顔に、変化は無い。
「おやすみなさいませ。お嬢様」
少女が離れると、彼はやはり表情を変えないまま、返答と共に目を瞑り一礼する。
その反応に、少女は少しだけ不満げに嘆息を漏らし、ドアの奥へと消えていく。
パタン、と。
少女の部屋の扉が閉められたことを、音で確認して、執事はゆっくりと頭を上げる。
目の前には、彼女のネームプレートがかけられた扉。
その扉の向こうで、あくびをしながらベッドに入ろうとしているであろう、少女を想う。
周りに誰もいない事を、軽く確認して、
「おやすみ。よい夢を」
微笑みながら、優しく呟く。




