第十一話 「就寝」
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Tea time.11
I want to sleep as if held by my lover.
Surely, nightmares will run away from me.
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疲れきって、何もする気力が起きない。
それでもベッドで思い返すのは、今日一日の事。
館での仕事は厳しく、疲労し、体から力を奪う。
冷たい水仕事に手はあかぎれて、刺繍や料理で傷も増える。
悲しい事、悔しい事。そんな事は茶飯事だ。
でも、それで喜んでくれる誰かの笑顔があるから、そんな一瞬のために頑張ろうと思う。
朝は優しく、昼は騒がしく、夕方は忙しく。
――でも、夜は寂しい。
伸ばした指先に誰も居ない不安を抱き、何回夜を過ごしたのだろう。
包まった毛布は暖かく、少しだけ心を落ち着かせ、彼女は眠りに付く。
いつか、毛布があの人に変わることを夢見て。




