アウトオブあーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 82話 みどり先輩、本を買う
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
……ではなく『本屋むらさき』。あさぎの家を挟んで、池図女学院とは反対側にあるちょっと大きな本屋さん。
「ここですね……。」
入り口前で店名が書かれた看板を見上げているのは、みどり先輩。
「確かにこの大きさなら、エッ……///ん"ん"っ、そう言う本を買いに来てもそれ目当てとは思われにくそうですね……。」
ひいろと恋仲であるみどり先輩は、ひいろの家にお泊まりするたびに隠されている叡智な本を覗き見てはバレない様に戻している。
みどり先輩は、ひいろのカモフラージュに使われているブックカバーが決まって同じ店……『本屋むらさき』のものであることに気付き、『本屋むらさき』と言うお店に大変興味が湧いていた。
「今日はひいろさんが雪さんのお家にお邪魔している日……、つまり鉢合わせのリスクはありません!」
みどり先輩はえいやっ!とお腹に力を入れて脇を締め胸の前で両手の拳を握り、気合を入れてさあ進もうとまっすぐ入り口を見ると、
「……えと、どーぞ?」
腰まではあるかという長さの藤色をしたフワンフワンの髪を揺らし、銀河の様な瞳をした店員さんが目の前で困り顔半分、と言う様子で微笑んだ。
「ッ!!!???//////」
いつからいたとか聞かれていたとかそんな思考は顔面に燃え盛る羞恥心を前に消し炭となった。
「すすすす、すみませ……!!??//////」
「コホン。……わたくしは何も見ていませんし、聞いていませんのであしからず……///」
目の前の店員さんはわざとらしく咳払いをすると、みどり先輩の真横を通り過ぎて店前の掃除を始めた。
「〜〜!?///」
みどり先輩は店員さんから逃げる様に、脇目も振らずお店の中へと一目散に駆け込んだ。
「…………ちらっ。」
我関せずという顔で掃き掃除をしていた店員さんは、みどり先輩の後ろ姿がお店の中で見えなくなったのを確認すると、
「しゅばばば……っ。」
目にも留まらぬ速さで掃除用具を片付け、フワンフワンの髪を頭の後ろでちょっと高めに、豪快に一つ結びにした。
「『ひいろさん』に、『雪さん』……。」
そのままさっきまでのみどり先輩を真似る様にぼんやり看板まで視線を上げて上の空で呟いた。
それからほんの少しして、店員さんは視線をお店の入り口へと戻した。
「あの人が…………。」
銀河の様な瞳がボーッとお店の中を見つめると、
「……『みどりさん』♪」
店員さんは含みのある笑みを浮かべて悠々とお店の中へ歩いて行った。
「はぁ……、はぁ……。」
少しでも早く店員さんの前から消えてしまいたい一心で当てもなく店内を駆けずり回ったみどり先輩は、息を切らして立ち止まってみるとそこは『趣味』のコーナーだった。
手芸に、イラスト、園芸から折り紙やキャンプまで、ありとあらゆる娯楽に関する本に囲まれ、背表紙を眺めているうちにみどり先輩の息は整い顔の炎も静まった。
そんなみどり先輩が品揃えに夢中になっている所を物陰から覗く影が1つ。
「どこ行ったかと思えば、こんな所に……。」
さっきの店員さんの銀河の様な瞳がみどり先輩をロックオンしていた。
「入り口前での様子を見るに、おそらくメイビー『みどりさん』は初来店……。ヒイロさんの恋人ということはピンクなコーナーをご所望のはず……!ここは上手く迷える子羊を導いて、新規顧客開拓で売り上げアップ……♪」
店員さんは一つ結びにしたフワンフワンな藤色の髪を揺らして、いったんみどり先輩のもとを離れた。
「いつか、ひいろさんとこんな所に……♪」
一方、みどり先輩はアウトドアの本を手に取りパラパラと景色のページを送っていた。
所変わって、店内にあるピンクの暖簾の向こう側では、
「ええっとアレは……、ありました♪」
店員さんは陳列されていた本を飛び飛びに取り上げ、平積みにして颯爽とピンクの暖簾をくぐり『趣味』のコーナーへと歩いて行った。
(フッフッフ……。ヒイロさんがネコミミ好きなのは本人からリサーチ済み……!)
※80話参照
(ヒイロさんの恋人ともあれば、このネコミミ本たちを買わずにはいられないはず……♪)
「フフ……♪」
(白ちゃんさんの母である『雪さん』を知る存在であり、ヒイロさんのことを『ひいろさん』と呼び慕う間柄であることからあの方が『みどりさん』であることを特定、)
※77話参照
「フフフ……♪」
(会話の断片から未来の顧客を割り出し、先回りして好みの本をお届けするなんて……ああ、わたくしってなんてスマァート……!)
「フッフッフ……、」
(ウィスタリア・バイオレット……!齢16にして、我ながらなんて恐ろしい営業の才!?)
「アーーーッハッハッハ♪♪」
店員さんがスマートに『趣味』のコーナーへとたどり着くと、みどり先輩はまだ無言でアウトドアの本を立ち読みしていた。
(なんか後ろの方で高笑いしてる人いる……)
店員さんが平積みの本を抱えたままみどり先輩の後ろを通りかかると、
「……きゃっ!?」
本の端っこがみどり先輩の背中に軽くぶつかり、店員さんはバランスを崩して尻もちをついた。
「わわっ!?すみません!?お怪我はありませんか……!?」
真後ろの悲鳴に気づいたみどり先輩は慌ててしゃがみ、目線の高さを合わせて店員さんを労った。
(よし……、かかった!)
店員さんはほんの一瞬、悪い笑みを浮かべた。
「こちらこそ申し訳ございません。幸い、
(『みどりさん』の視線を釘付けにするチャンス!今です……ッ!)
店員さんは赤ん坊を抱えるように優しく抱いていた本の表紙をみどり先輩の目線の真正面に据えた。
「本たちは無事でしたから♪」
(さあお行きなさいっ!わたくしの可愛い可愛いおすすめ本達……!)
勝利を確信した店員さんがみどり先輩の顔を見ると、本に釘付けな筈のみどり先輩のちょっと困ったような眼差しが店員さんの銀河の様な瞳をまっすぐ見つめていた。
「私が案じたのは店員さんなんですけど……。」
「へ…………?ど、どうも……。」
店員さんは面食らってしまった。
「……って、ぶつかった私が言うのも変でしたね。」
みどり先輩は困り顔で笑って見せた。
「いえ、そんな……。」
「……そうだ!お詫びと言っては何ですけど、店員さんのおすすめの本、教えてください♪」
「おすすめ、ですか……。」
「お恥ずかしながら、ここ、初めてでして……///」
「そうですか。『趣味』の本なら、」
店員さんが本棚の方を向くと、みどり先輩が間髪入れずに、
「そういえば!店員さんが持ってる本ってどんな本なんですか!?」
「へ?ええっと……、これは『吾輩は「ネコ」ではないっ!』でこっちは『ーどの猫よりも君はネコー』。それとこれは『いっぱい食べるキミが好き♡』です。」
「へっ、へぇ〜?そういえば!私って家が猫カフェでして、猫の本とか買ってみるのもいいかな〜?」
みどり先輩の声は上擦り、その目は縦横無尽に宇宙遊泳していた。
「……。」
(この人、バッチリ興味津々だ……!?)
「ち……、ちなみにっ、この吾輩……ん"ん"っ!文豪っぽいのは……///」
「『吾輩は「ネコ」ではないっ!』ですか?」
「はっ、はい……///」
「……。」
(タイトルだけで赤面するということはこの人、無知を装っている……!?)
「……奥手な両片想いの2人の片方が、猫のようにありのまま好意をしめせたら……と自室の飼い猫を模倣してアプローチしてみて、ものの見事に空回りしてしまうのですが、相手はそんなところが愛おしいと…………、」
「……と?」
みどり先輩は食い入るように店員さんの一言一句に耳を傾け次の一言を催促した。
「……この後は確か〜、……あーダメですねー思い出せません。」
店員さんは白々しく後の内容をはぐらかした。
「く……っ!」
「因みに新刊なので今なら特典のイラストカードが付いてきますが……。」
「買いますっ。」
「どうも。」
店員さんはみどり先輩に『吾輩は「ネコ」ではないっ!』を手渡した。
「ありがとうございます♪ではわたくしはこれで
背を向けようとする店員さんの肩がものすごい力で掴まれた。
「因みに他の2冊は……。」
「……。」
(この人、ヒイロさんに負けず劣らずむっつりだ……ッ!?)
「どちらから紹介しましょう♪」
店員さんは満面の笑みで右手に『ーどの猫よりも君はネコー』を、左手に『いっぱい食べるキミが好き♡』を持ち表紙をみどり先輩の目線の高さに上げた。
「えっと……こっちからで///」
みどり先輩は曲がった人差し指で『ーどの猫よりも君はネコー』を指した。
「『ーどの猫よりも君はネコー』ですね♪」
「てっ、店員さん!?あまり大きな声で言うのは
「やましーことは言っておりませんが……。」
「う"……、」
「ええっと、この本は……猫カフェの店員さんと常連さんのお話で、バリキャリで隙のなさそうな常連さんが猫達にいいように遊ばれている姿を見るうちに店員さんにとある衝動が芽生えて…………、」
「芽生えて……!?」
みどり先輩は食い入るように店員さんの一言一句に耳を傾け次の一言を催促した。
「……この後は確か〜、……あーダメですねー思い出せません。」
店員さんはまた白々しく後の内容をはぐらかした。
「く……っ!またしても良いところで……!」
「良いところはまだまだ先だったことは覚えているのですがー……、」
「……わざとやってません?」
「そう思っていただいても構いませんが、こちらは既刊でして原品限り。次回入荷の予定は……、」
「買います。」
「どうも〜♪」
店員さんはみどり先輩に『ーどの猫よりも君はネコー』を手渡した。
「こちらはどうなさいます?」
店員さんは『いっぱい食べるキミが好き♡』をみどり先輩の目線の高さに持ち上げた。
「…………、遠慮しておきます。聞いたら買ってしまいそうなので。」
「そうですか……。」
店員さんはシュン……と肩をすくめた。
「う……、な、なんだか罪悪感が……!?」
「ざ、罪悪感だなんてとんでもありません!?お客様がさっきの本をお買い上げいただいたのも、さっきぶつかってしまったお詫びのおつもりでしょう?……お優しいんですね♪」
「う"……っ!?」
みどり先輩は『お詫び』という免罪符を手に入れてしまった。
「…………き、聞くだけですよ……!?///」
「はぁい♪ではこちらの『いっぱい食べるキミが好き♡』ですが
「あの、」
「はい?」
「一言一句正確に読み上げなくても……///っていうかその『♡』とかどうやってるんですか。」
「それは企業秘密です。……リピートしてくださったら、嬉しくて研究されちゃうかもしれませんけどね♡」
「いや、それは結構です。」
「なんですとっ!?」
「私、心に決めたお人がいますので。」
「へ、へぇ〜……。それよりも紹介でしたね。」
「はいっ!」
「……。」
(この人、段々隠さなくなってきたな……)
「こちらの『いっぱい食べるキミが好き♡』は高校の先輩後輩のお話で、大食いなのを気にしている先輩が後輩とお忍びで放課後の食べ歩きデー
「買います。」
「へ……?」
みどり先輩に催促されるまま、店員さんはみどり先輩をレジまで連れて無事に3冊ともお買い上げとなった。
ウィスタリア、きはだ(2)
ウィスタリア:きはださんきはださん!
きはだ:どうしたのぉ?
ウィスタリア:どうしましょう!?
きはだ:どうしようかねぇ
ウィスタリア:聞いてくださいよ!?
きはだ:上を見るんだ
ウィスタリア:テンジョー……?
きはだ:履歴だよぉ……
ウィスタリア:あ
ウィスタリア:最初に聞いてくれてました///
きはだ:何か良いことでもあった?
ウィスタリア:そうなんですっ!
ウィスタリア:わたくしなんと
ウィスタリア:みどりさんなるお方に接客してしまいました!?
きはだ:おぉ……
ウィスタリア:えっへん♪
きはだ:『接客』ってことは向こうは知らない感じ?
ウィスタリア:変装しましたので♪
きはだ:あの毎日がコスプレのウィスタリアちゃんが変装……!?
ウィスタリア:はい♪髪をこう後ろでグワッと!
きはだ:髪型変えたんだねぇ
ウィスタリア:わたくしがわたくしだと気づく素振りもありませんでした♪
きはだ:そりゃまあ初対面だもん
ウィスタリア:はうっ!?
きはだ:あれぇ?じゃあなんでウィスタリアちゃんはわかったのぉ?
ウィスタリア: 『今日はひいろさんが雪さんのお家にお邪魔している日』って、お口に出していましたので♪
きはだ:いかがわしいなぁ
ウィスタリア:日本語ってむずかしい……
きはだ:わざとだよねぇ?
ウィスタリア:さすがキハダさん!何でもおみとーしですね♪
きはだ:そっかぁ、みどり先輩抜けてるところあるもんなぁ……
ウィスタリア:けっこうなムッツリさんでした!
きはだ:報告せんでよろしい
ウィスタリア:いえっさ
きはだ:まあつまりこれであさぎちゃん、ひいろちゃん、みどり先輩のことは一方的に知っている……と
ウィスタリア:学校でも変装した方がいいでしょーか?
きはだ:逃げ隠れはしなくて良いんじゃないかなぁ?
ウィスタリア:いつみなさんの前に現れましょーか……
きはだ:段々引っ込みつかなくなってて草ァ!
ウィスタリア:どうしましょうきはださ〜〜ん!
きはだ:えぇぇ……
ウィスタリア:というわけでカッコよくて可愛くてちょっぴりエッチな登場シーンを一緒に考えましょー♪
きはだ:『ちょっぴりエッチな』は要らないと思うんだ
ウィスタリア:え〜
ウィスタリア:登場シーンは華型じゃないですか!?
ウィスタリア:絵やキャラがまだ固まってなくて埋もれないように香ばしい名乗りをするのが良いんじゃないですか!?
きはだ:普通で良
きはだ: :[☎︎]
きはだ:[通話を終了しました]
ウィスタリア:やっぱりきはださんっていー人ですね
ウィスタリア:おやすみなさい♪




