ガレージ・マジック
互いに静止してるとき、ガレージと自動車の長さは同じとします。ガレージの出入口は開閉しますが、通常は開いてるとします。入口は自動車が前向きで入る側、出口はガレージをそのまま通過して出ていく側です。
特殊相対性理論によると
動いている相手の
長さは縮み 時間は遅れる
ガレージの脇にいる人には
自動車がガレージよりも縮む
自動車の運転手には
ガレージが自動車よりも縮む
ガレージの出入口を開け閉めしたら
辻褄があうのか心配だ
ガレージの脇にいると
動いている自動車の
長さは縮み 時間は遅れる
ガレージの脇にいる人には
自動車後部が先にガレージ入口を通過する
ガレージの脇にいる人には
自動車先端が後からガレージ出口を通過する
ガレージの出入口を開け閉めしても
自動車はすっぽりガレージに収まる
自動車の運転手には
動いているガレージの
長さは縮み 時間は遅れる
自動車の運転手には
自動車先端が先にガレージ出口を通過する
自動車の運転手には
自動車後部が後からガレージ入口を通過する
ガレージの脇の人と運転手には
自動車の先端と後部の出入口通過順序が逆転する
もはや時空の伸び縮みにより機序が変わる
どちらかの視点に立てば言ってることはわかるだろう
でもガレージの扉が開閉するたび
辻褄合わせの謎が心に残る
ガレージの脇の人にとって
止まっているガレージは
長さは縮まず 時計も遅れない
ガレージの脇にいる人の時計で
自動車通過中にガレージ出入口を「同時に」開閉する
ガレージの開閉が瞬時なら
自動車はすっぽりガレージに収まる
自動車の運転手には
開閉するガレージの
長さは縮み 時間は遅れる
運転手の時計では
自動車通過中にガレージ出口が「最初に」開閉する
運転手の時計では
自動車通過中にガレージ入口が「後から」開閉する
ガレージと運転手の「同時」が違うので
自動車は間一髪ガレージをすり抜ける
ガレージの扉が開閉する際、運転手にとっては、入口の開閉が最後に見えるのはなぜか、疑問に思うかもしれません。
詩の二節目のように、「運転手の時計」では、自動車後部がガレージ入口を通過するのが「後」です。よって、ガレージの時計で出入口の開閉が同時なら、運転手の時計では、入口の開閉が「後」になります。
*長い補足の補足
ガレージの脇の人が、自動車がガレージの出入口のシャッターに衝突しないように開閉すれば、自動車の運転手から見ても衝突しません。ガレージの脇の人から見て、自動車の後部がガレージの入口を通過した直後に入口を開閉して、先端が出口に到達する直前に開閉すれば、同時に開閉しなくても、運転手から見ても衝突しません。運転手から見ると、最初に自動車がガレージ出口に到達する直前に出口が開閉され、最後に、自動車の後部がガレージ入口を通過した直後に、入口が開閉されるだけです。ただ、ガレージと自動車とでは、同時が異なる事実は重要です。
自動車の時計で同時に出入口を開閉すると、もちろん、自動車は出入口のシャッターに挟まります。このとき、ガレージの人の時計では入口と出口の開閉する時間が異なるので、やはり自動車は出入口のシャッターに挟まります。
事実上は、自動車が出入口に挟まったら、衝撃で速度が下がりガレージ脇の人からは自動車が伸びる効果もあることでしょう。