45. 悪阻ルートが永遠に終わらない契約結婚なんです!?
エピローグです。プロローグ同様、最後はフィリス視点です。(※コメディ寄りですが直接描写ではない匂わせの苦手な方お気を付けください)
あとがきは書きませんので此方で完結に御礼を。皆様、約1ヵ月間稚拙な文にお付き合い頂き本当に有難うございます。処女作を完結出来たこと、皆様のおかげでございます。
こちら、感謝の気持ちとイラスト、活動報告に掲載しております。(https://syosetu.com/userblogmanage/view/blogkey/3173249/)
またどこかの世界で皆様に出会える事、楽しみにしております。(猫まんじゅう)
皆さま、ごきげんよう。
バルモント公爵夫人、フィリスでございます。
ええ、もう嘔吐はしていなくってよ?
そうそう。ほんのつい3ヵ月前に、3人目の子供を産んだばかりなのですわ。
私とノアルファス様は今年で結婚3年目となりました。
え?計算?合ってましてよ?
あの日、初めて女の子を産んだ後、私の願いを聞き届けてくれたノアルファス様は私を連れて無期限の旅行計画を立てて下さいました。
乳母やメイド、護衛、勿論赤子も連れて、ロザリアを出てギプロスを通り、各国をめぐって外交をしながら帰国するという予定だったのです。
国王アレクサンダーも乗り気でその案に賛成し、報告書を逐一上げる事で同意したのでした。
ですが、あの当時はお互い気持ちの通い合った後の事でしたので······ノアルファス様は私を溺愛しており、それは片時も、一瞬たりとも離しませんでした。
最初に訪れたのはギプロス。
妊娠中お世話になった御礼と、子供の顔を見せるという意味も兼ねて、私達はエレイン様の家の”離れ”に2ヵ月程滞在しました。
その滞在中、私の二度目の妊娠が発覚。
旅行は勿論中断となり、急遽ロザリアに帰国する事になったのでございます。
ええ、笑って頂いて結構ですのよ?
私の夢だった”世界をめぐる旅行”はギプロスの”離れ”で呆気なく幕を閉じたのでございます!
その後、は悪夢再び、でございます。
それはそれは壮絶な悪阻の後、私は結婚当初の契約の要であった跡継ぎである男の子を出産致しました。
それをもう、あと一度繰り返し、今の私がございます。
こうして、私、今は可愛い一人の女の子と、二人の男の子の母となりました。
契約の事、気になりますか?皆さまの御推察通り、やはり契約はもう効力が失われているようです。跡継ぎである男児を出産しても、離縁などはされなかったわけですからね。
それに加えて、旅行も未だ決行はされておりませんが。
現在は結婚当初に出来なかった婚儀を小規模で行う事になりまして、その準備に奔走しております。
まあ、小規模といえど、あの国王陛下と王妃陛下が出席されるので小さくないのですが······。
兎に角。
大変な事も多かった3年でしたが、3人の可愛い子供たちに囲まれ、学んだ事も沢山あります。
子供というのはとっても可愛いものなのですね。無垢な心で全てを吸収し、私の知らない内に急激な成長を遂げていくのです。
愛情を与えれば、与えるだけ返ってくる······のとは少し違いますが、それも人間だからこそ。
子供と親は違う人間なのですから、同じ考えではないのは仕方ありませんね。
私が”じゃじゃ馬”の”風変わり令嬢”であったように、これも個性!
伸ばせる所は私やノア様で援助しながら伸ばしてあげて、間違っている部分はダメと。そして何故ダメなのか話し合う時間も作って、共に成長できればいいなと思っております。
まあ、それにしても、皆様、人生計画は計画的にしてくださって?
私のように毎年1人出産をするのは、きっと身体への負担も大きいはずなのです······!
「フィリス、愛している」
「ノアさま······3年前、旅行に連れて行ってくれるって······約束、というか契約、覚えてます?」
「······ああ。だが、貴女と旅行に行くのもいいが、もう少しここで大切に愛でていたいという気持ちもあるんだよ。子供たちも本当に可愛いしねぇ······」
そして、この大きな子供。
これが最近の旦那様。ノアルファス様でございましてよ。
しっかり私を自分の膝の上に抱きかかえて、顔を覗き込んで愛おしそうなまなざしを向けてくる······この人が。
子供の事を考えるだけで、頬が下がりだらしのない笑顔を向ける······そう!この人が!!
「重ぉッ!気持ちが、重いのですよ、ノア様!外交のお仕事は······?隣国に行く機会は?!」
「それは、奴らがこちらに来ればいい話だろう?私にはやらなければならない事が沢山あるんだ」
「ああ······私の自由の旅······」
「分かっている、フィリス。旅行はまた直ぐに検討しよう。今度は二人でゆっくり行くのはどうだろうか?そうだ、婚儀も行う事だし······蜜月旅行というのも良いな······」
「······え。それ······嫌な予感しかしないのですが······」
あの日、想いを通い合わせてから、契約が失効となり、全身全霊で愛情を表現してくれるようになったノアルファス様は以前とは別人です。
もう既に跡継ぎは二人いるのですから公爵家としては安泰のはずなのですがね······。
でも、ノア様はずっと変わらないその愛を全力で私に注いでくれるのです。
「ふふっ、やはり愛は万能薬だったな······フィリス、愛している。貴女はどうなんだ?まだノアとも呼んでくれないから俺は不安で······」
「っ、そ、それは、私も愛してはおりますが······。あ、そうだ、今日はレオン様が帰ってきますね?」
「ああ、アイツは本当に早く婚約者を選べと言っているのにな······」
ノア様の弟のレオン様は3年前に騎士団に入団。最近、騎士団の副団長までに昇りつめ順風満帆な様ですが、婚約者もいないため釣書が公爵家に溢れていると執事が嘆いておりました。
私の専属メイド、ライラは、私の護衛としてノアルファス様が雇った護衛騎士と恋に堕ちて、二人はもうすぐ結婚も考えているのだとか。
公爵家の皆が幸せになる事は、私にとって、とても嬉しい事です。
「さあ、フィリス。レオンの事など放っておこう。そろそろ”離れ”に行こうか」
「い、いえ、ノア様!あそこには私、用がありません!!」
「あの時はあんなに”離れ”を作るのに目を輝かせていたのに?」
「そ、それは!あの時はこんな事になるとは知らなかっただけですわ!」
顔を引き攣らせてそう言った私に、ノア様は大層楽しそうな笑顔を向けてこられ。
「······そうかそうか。だが、用がなければ作れば良いんだぞ?知っていたか?」
「いやいやいやいや、そんなワケがないでしょう!!?」
逃げようとする私をノア様は直ぐに捕まえると、軽々とお姫様抱っこして額に口づけを落として。その優しい口づけとは裏腹に、彼はクツクツと悪魔の様に笑いながら、ゆっくりと離れに向けて歩を進めていくのです。
「ノ、ノア様、聞いてらっしゃいますか?ねえ?!ノ、······ノアっ!!」
そう、この堅物、これに関しては全く聞いてくれないのです。
ええ、もうジタバタと抵抗する事すら無駄だと学んだのですが······。
「フィリス、今!ノアと呼んでくれたのかっ?!······これは、離してやれないな······」
でも······、一応、抵抗する事も大切ですわよ······ね?
だから、今日も私は公爵家の敷地中に聞こえる声で叫ぶのですわ。
「いやあああ、ノア様どこ触ってくれてるんですかああ!もう悪阻は嫌なのよねえええ!!
このムッツリ変態スケベ野郎!!!」
────── 完 ──────




