悪役令嬢になりたくて異世界転生しましたが
「わしゃぁ、神じゃあ」
目を開けたら、ヨボヨボの見知らぬおじいちゃんが、プルプルしながら私の前に立っていた。
「おじいちゃん、ボケてるの?」
私の言葉はまるっと無視して、おじいちゃんは話続ける。
「お前さんを、このげぇむの世界に転生させてやろう。希望はあるかぇ?」
なんだかよくわからないが、憧れの異世界転生をさせてくれるらしい。
「私、悪役令嬢になりたいです!!」
「ああ?なんだって?」
「悪役令嬢です!」
「あくぎゃくれいぞうかぃ?」
おじいちゃん惜しい!ちょっと違うんだ。
私は異世界転生でよくある「悪役令嬢転生」からの、イケメンとの恋愛、及びチート内政とかしたいのだよ!
だったらヒロインでもいいじゃないかって?
ちっちっち、悪役令嬢とヒロインなら、断然悪役令嬢よ!なんせ基本スペックが違うんだから。
あれよ、よく言う最初から強いとかなんとかいうやつよ!
「あ・く・や・く・れ・い・じょ・う!」
「おお、わかったぞぃ」
そう言っておじいちゃんは、私をゲーム世界に転生させてくれた。
握力がめっちゃある令嬢として。
「あのじじぃ!覚えてやがれ!」
確かにチートだが、ゲーム世界ではただのモブ。
私は、毎日りんごを砕いたり、アイアンクローを極めたり、自宅の壁でクライミングをしながら、じじぃに復讐する機会を探している。
蛇足的なおまけ
「わしゃあ、かみさまジャァァ。異世界転生させてやるぞぉ」
「勇者になりたいです!」
「ゆーしゃ、じゃのぅ?」
「はい!」
「あの、風で羽が回って、粉をひいたりするやつかのぅ」
「それは風車です、無機物にしないでください」
「ちょっとしたおちゃめじゃよ」
じじぃは乙女ゲームの神様なので、勇者にできない!
どうしますか?
➡にげる
戦う
残念、回り込まれてしまった!
じじぃは最近覚えた「悪役令嬢」を唱えた!
「悪役令嬢」が誕生した!