005 サービス終了「道中、木の棒、強化の棒」
ヴェルフィスターに向かう支度を済ませ、荷台に乗せてもらい、走り出す。
「ところでさヴェルフィスターにはこう、長みたいな奴がいる建物ってあるの?」
とりあえず口に出してみる
「ありますよ~正確には申請がいる城なので私達には入る手段は無いと思いますが・・私は王女に一度話をさせて頂きたいんです・・」
(あ~昨夜の親衛隊の奴らの件か・・まぁ簡単に予想出来るとしたらあの中に暗躍してる関係者がいるんだろと思うが・・)
「申請ってそんな簡単に出来る物なの?」
「いえ、町はずれの小娘が王宮に話を通す事はまず出来ません・・ギルドで名を売り、王に気に入られるか、後は・・富裕層の財閥くらいですかね」
「確かに俺たちからしたら縁遠き事かなぁ・・」(そもそも俺は戦闘すら出来るか怪しい立ち位置だし、この中でのナンバーワンは魔法が使えるティルシーさんだけ・・)
「それ以外にも何か出来る事が無いか探してるのですが・・・どうしたら」
その時だった、荷台の運転手らしき人から危機迫る声が発せられた
「魔物が出たぞ!複数いる!」
「まっじで!エンカウント早くない!?」
「村外れから大分先に行ってるので出てきたようですね、絶対会います!」
「え!?まさか戦闘込みの道中だったの?」
「ごめんなさい、魔物が必ず出ると言ったら逃げると思ったので、そこの木の棒を構えてください、一定時間ですが強化します!」
彼女が魔法を唱える、何の変哲もない木の棒は光を浴び、力がみなぎるような武器に変わった
「確かに力を感じる・・これが異世界の魔法なのか!武術の心得はほぼ無いが・・殴るくらいは出来る!」
3体の犬型のモンスター、速さを感じる一般的な体当たりタイプかと分析をする
「先手必勝!まずは当てる事から!でぇりゃ
!」
脳震盪を起こすんじゃないかと思われる一撃はモンスターにクリーンヒットした・・が倒れない
逆にカウンターを仕掛けてくる
「おいおい、いくら何でも反撃が早すぎるだろ!」
「前に出すぎです!離れてください
!」
咄嗟に彼女が魔法を唱える、さっきとは違う魔法、今度は彼女単体の攻撃魔法だったのだ
「風よ・・舞い上がれ!ウィンドバン!」
放たれた風の魔法は一体だけでなくその後ろのモンスターにも巻き込まれる形でその威力を拡散させるのであった。
「すげぇよ!ティルシーさん!やっぱ魔法は伊達じゃねぇぜ!」
「いえ、私もビックリしましたまさか群れで来るなんて、それにしても意外と積極的に行くんですね大体の方はいくら魔法が施されてるとはいえ、結局私が倒してましたから」
「まぁでも一回ダメージ与えただけであんまり変わってないよ、即逃げたし」
「確かにあの逃げ足の速さは尋常じゃないですね・・おかげで詠唱に時間もありましたし助かりました」
戦闘が終わり荷台を整え、出発の準備をしていると何か殺気のような物を感じた
「!まだいる!近い!」
上空から大きなモンスターが現れた!人型ではないが獣、さっきの3体分を合体させたような大きな獣だ
「こんな獣見た事ありません!申し訳ありませんが、構えてください!」
「いやこれはまた避けられない戦闘なのね!殺気って人じゃなくても感じられるのな!」
獣は突進してくる、さっきの犬型の比じゃない、衝撃が伝わってくる。
「風の加護よ、ここに、巨大な障壁を「ウォール・ウィンド」!」
「風の障壁!威力を半減させるのか
!?」
守れたかに見えた、風の障壁は風を無くし、衝撃だけが俺たちを襲った。
「こ、これは・・効くな・・・初めてのダメージがここまで甚大だとは」
「あれ、ティルシーさん!どうしたんだ!まずい気を失ってる」
彼女が気を失ったからなのか、風の魔法効果も木の棒から失われていた
「これはまずい、まずいよな。」
同じ言葉を連呼する冷たく事が運ぶかのように
「ヴァァァァァ
!」
さっきの攻撃よりは劣るが、俺たちを潰すには十分な攻撃だった、絶望を帯びながら・・後ろを向いた瞬間、小さな光が見えた
その瞬間獣は一瞬でダウンし、地面が揺れた・・長物を持った男が現れた・・
「よぉ、移動販売サービスPSG1で~す」