コンタクト
施設までは泳ぎ、壁面を登り潜入した。
装備は何も持ってこなかった。何も残さない為だ。
現地調達。相手を殺す武器などそこら中にある。
施設内は静寂に包まれていた。
波や水滴の音は聞こえるが、その他は何も聞こえない。
一応、電気は通っていようだ。監視カメラは起動している。
通信を回復すべく、制御室に向け行動を始めた。
途中、研究員やセキュリティー係の死体を何体か見つけた。
皆、急所を一撃でやられており即死させられている。
これで何者かがこの事態を引き起こした事は確信できた。
こんな事ができる人間は限られている。
その可能性がある人物達を私は知っている。
もしそうであった場合、本部がこの任務を私に依頼したのは正解だ。
仮に軍隊を派遣した所でどうにもならないだろう。
通信制御室に到着しパネルを起動した。
しかしパネルからでは復旧することは出来なかった。
恐らく、通信系統自体が破壊されているのだろう。
こうなれば修理をしなくてはならない。
その時、私は戦闘態勢に入った。
後ろから誰かが近づいて来たのがわかったからだ。
?「久しぶりだな。」
*「やはりお前だったか。イシュマエル」
イシュマエル「その名で呼ばれるのは久々だな」
*「目的はなんだ?」
イシュマエル「奪われたものを取り返しに来た」
*「?」
イシュマエル「目的遂行の為だ。悪いがお前には消えてもらう」
私は後ろにいたイシュマエルの服が擦れる音で打撃の軌道を瞬時に推測し避けた。そして彼の腕を掴み関節技の態勢に入った。
しかし、彼も私の攻撃を予想し技から逃れた。
彼はナイフを抜き切りかかってきた。
私は腕時計の表面で刃を弾き飛ばし、膝蹴りを入れた。
彼は、私の膝を掴み体勢を崩したタイミングで顎に打撃を入れた。
お互いに距離を取り、暫く睨み合いが続いた。
その時、彼の無線が鳴った。
イシュマエル「どうした?...そうか、わかった。」
彼は一息つきた後に、口を開いた。
イシュマエル「すまない、もう時間がない」
そう言うと、目の前からイシュマエルが消えた
そして強烈な打撃が私の側頭部に入った。
私は気絶してしまった。