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プロローグ
「皆さん朝食の準備ができましたよ。起きてください。」
誰かの声が聞こえる。
重い目蓋を開くと人影があった。
正確には人ではない。例えるならば獣人だ。
狼のような顔に、白銀に輝く体毛、長い尻尾、鋭い爪を持っていた。
「***さん起きてください。」
名前は聞き取れなかったが、獣人は落ち着いた優しい声をしていた。
自分は眠たくて起き上がる事ができない。
「***起きてください。スープが冷めてしまいますよ。」
再び声を発し、私の肩を揺すった。
名前は聞き取れない。
「仕方がないですね。先に皆さんといただいてますね。目が覚めたら下に降りてきてください。」
そう言うと、獣人は私の頭を数回撫で出て行った。
私は再び目蓋を閉じた。
しかし、大きな爆発音で目を覚ました。
私は暗闇に立っていて、右手には拳銃を握っていた。
目の前にはあの獣人が仰向けに倒れていた。
私の右手は勝手に獣人の頭に照準を合わせ始めた。
私は抵抗したが、何故か言う事を聞いてくれない。
獣人は半開きの眼で私を見ていた。
綺麗で優しい目をしていた。
そして、大きな口で小さな声を発した。
「____。」
私は引き金を引いた。