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第一話『真っ暗な部屋から』



 深夜1時、大学2年生の一瀬護は真っ暗な部屋でベッドに横たわっていた。スマホの画面に照らされ、眩しそうに目を細めている。

 そう、男子の毎晩恒例(?)お楽しみタイムである。パンツは脱ぎ準備万端。あとは今晩の相棒となるオカズを選ぶだけである。護はありとあらゆる動画サイトを漁っていた。

 昨日はナースもの、一昨日は家庭教師、今日は何にしようかと考えを巡らせていた。


 しかし、突然睡魔が護を襲う。三代欲求の2つである「性欲」と「睡眠欲」では今日は睡眠欲が勝ってしまったらしい。護はスマホ片手にパンツも脱いだまま眠りについてしまったーー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ーー周りが騒がしく、護は目を覚ました。


 「眩しっ」


 眼前にはとても綺麗な青空が広がっている。背中から伝う硬い感触。寝起きでも違和感を覚えた。護が眠りにつく前、見上げれば見慣れた天井であり、寝ていた場所はふかふかのベッドのはずである。


「ん…?あれ…?俺ベッドにいたよね…?」


 ハッとして見渡すと、そこは見知らぬ西洋風の街であり、周りには人だかりができていた。その人だかりの中には普通の人間とは思えない生き物たちもいた。


「え、小人…?エルフ…?あの獣みたいな人間はなんだ…?」


 驚くことに、ただの人間だけではなく、見るからにゲームやマンガに出てくるような小人やエルフ、獣人までもが人だかりに混じって護のことを嘲るように見ていた。


「なにこれ、夢だよな?」


 そう思い、自分の頬をつねってみたら、じんわりと痛みが伝わった。


「痛っ…ってことは夢じゃない…?」


 そう、護は眠りについた時の姿のままーーつまり、下半身裸のまま見知らぬ街の中心で横たわっていたのだ。


 女性の悲鳴とともに「警備隊を呼べ!!」という声が聞こえた。


「え、なにこれ!?意味わかんない!!」


 嘆きながら急いでパンツを履く護だが、時すでに遅し。まもなく駆け付けた警備隊により捕まってしまい、話も聞いてもらえず投獄されてしまった。

 乱暴に扱われた衝撃による痛みで、夢ではないということを改めて実感した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 牢屋の外には狼のような顔をした、しかし体は人間のような獣人が2人立っている。おそらく護のことを見張っているようだ。


「お前ど変態だな」「ウルズ王国じゃわいせつ行為は重罪だぞ」


 彼らのうち1人が言った「ウルズ王国」という国は実際には存在しないはず。さっきからなんなんだこの世界は。見たことない生き物たちが人間のように生活して、聞いたことない国が存在する世界。まるでゲームやマンガの中のような世界。



 ーーえ



「もしかしてここって異世界???」





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